**** 2006/06/21 ******************************************** ☆★ EE Club mail magazine ★☆ ~英語を“楽習”しましょ~ ******************************************** 第35号!***** ドイツワールドカップのグループリーグも佳境に入っています。 窮地に立たされた日本ですが、明日の試合に期待しましょう! http://www.asahipress.com/ ■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ contents ━━━━ 【1】 売行き良好書のご案内 【2】 アーサー・ビナードさん、インタビュー裏話 【3】 連載=日本人英語につける薬 【4】 あとがき ♯なにはさておき人文書 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■ 【1】 売行き良好書のご案内 『週刊文春』(6/15 発売号)にて、柴門ふみさんが大絶賛! □『仏像のひみつ』   山本勉=著 川口澄子=イラスト 東京国立博物館の人気展示が一冊に。 この本で、かんたんに、おおまかに、でもしっかりと、仏像の ひみつを知りましょう。これからお寺や博物館で仏像に出会う のが、そして鑑賞するのが、とても楽しくなるのを約束します。 ⇒http://www.asahipress.com/2006/butsuzo.html ▼▽━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2】 アーサー・ビナードさん、インタビュー裏話 EE7月号の巻頭インタビューは、詩人のアーサー・ビナードさん です。ビナードさんは、来日してから日本語を学びつつ、日本語で 詩を書き始め、第一詩集『釣り上げては』で中原中也賞、エッセイ 『日本語ぽこりぽこり』で講談社エッセイ賞を受賞しました。日本 人が英語で書いた文章で由緒ある賞を受賞できるか?と考えれば、 ビナードさんがどれほど優れた才能に恵まれているかが理解できる と思います。そんなビナードさんですから、言葉・言語に対する思 いや考えも半端ではありません。それは本誌に譲り、ここでは翻訳 に関するお話をご紹介します! …………………………… (以下、アーサー・ビナードさんインタビュー) 中原中也賞の受賞作は、正賞として英訳本が刊行されるんです。 それが賞の1つの特徴なんですが、『釣り上げては』は、英語が母 語のぼくが日本語で書いたもので、それを英訳するとなったら、や はり自分でやるしかないって思いました。「英語だとここが少し弱 いな」とか、反対に「この出だしは日本語より英語のほうが決まっ た」とか、翻訳作業の中で、ところどころそういう微妙な差が出て、 とても面白かった。ま、問題は翻訳者の能力の限界だっただろうけ ど。 翻訳は創作と同じくらい大事だと思う。何を書くかという最初の悩 みはないが、ついやす労力はあまり変わらない。なにしろもう一度 作ることになるからね。日本語に訳すということは、日本語で再創 作すること。絵本は詩と同じで省略が多く、中でも一番難しい。散 文で説明が入るようなものだと、多少表現に問題があったり、硬く て直訳っぽくなったりしても、分かるところまで行けるけど、絵本 ではそんなくどさは許されない。失敗して落ちると、下には安全網 が張られていないから、かなり怖い。 $--…---…---…---…---…---…---…---…---…-…---…--$  EEを友達にすすめてアフィリエイト報酬をゲットしよう!     ◎詳しくはこちら ⇒ http://ee.asahipress.com/ $--…---…---…---…---…---…---…---…---…-…---…--$ ▼▽━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【3】 連載=日本人英語につける薬 〔 第32回 ● これがオージー英語だ! 〕 サッカー・ワールドカップで、日本がオーストラリアに負けた。 日本は「サムライ・ブルー」だが、オーストラリア・チームにはカン ガルーにかけた“Socceroos”(サッカルーズ)というニックネームが ある。カンタス航空(Qantas Airways)がメインスポンサーなので、 “Qantas Socceroos”(カンタス・サッカルーズ)とも言うようだ。 ということで、今回は“Aussie English”(オーストラリア英語)が テーマ。 私の友人にマーク(Marc)というオーストラリア人の“nice bloke” (いいやつ)がいた。 “bloke”というのは「(若い)男の人」という意味で、イギリス人も 使うが、 オーストラリア人の使用頻度のほうが圧倒的に高い言葉だ。 北米では、この意味に使われるのは前に書いた“guy”がほとんどで、 ほかには“chap”という言葉をごくたまに耳にするくらいである。 さて、そのマークと私は、もう 20 年以上も前になるが、半年間ほど ルームメイトであった。その間に彼から聞いたオーストラリア英語は 次のようなものだった。 “G'day, mate.”が「グッダイ、マイト」と聞こえることはよく知ら れているが、“How are you going today?”は、“How're yer goin’ to die?”と言っているように聞こえた。 つまり、「どうやって死ぬ んだい?」だ。これを聞いて “Heck, I am not going to die yet.” (冗談じゃない、まだ死なないよ)と答えたカナダ人もいた(らしい)。 マークは、しょっちゅう、“What do you reckon?”とも言っていた。 「どうだい、調子は?」というような意味だ。 もうひとつの彼の口癖は “fair dinkum”というもの。これがわかっ たら、かなりのオージー通だ。意味は、“really”とか“true”で、 日本語の「ほんとうに、まったく」または「ホント?」に相当する。 また、北米の人なら“No problem.”(大丈夫だよ)と言うところを、 彼は “No worries.”とか“She'll be right.”などと言っていた。 代名詞の“It”を“She”に置き換えることは、“PC”(politically correct;政治的に正しい)かどうかどころでなく “chauvinistic” (男性優位主義的)でさえあるが、労働者の英語ではオーストラリア に限らずよく使われる。 若い女性のことは、なぜか“sheila”と言った。これは別に悪口では ない。 悪口では“bushpig”というのがある。これは「イノシシ」の 一種のことだが、「見かけの悪い女性」という意味で使う。実は、女 性同士でも「いやな女」(bitch)という意味で、裏で使う言葉らしい。 さて、 このマークが真のオージー(true Aussie)であることを証明 したのは、 言葉ではなく、“Vegemite”(ベジマイト)という得体の 知れない、びん詰の真っ黒なペーストをトーストに塗って食べること であった。味は、うまく説明できないが、味噌としょうゆを足したよ うに塩辛い。オージーとキーウィー(Kiwi;ニュージーランド人の俗 称)以外で食べる人はまずいない。 イースト菌(yeast;パン酵母) のエキス(extract)らしい。オージーの海外旅行には携帯必需品だ。 (警告:病みつきになる外国人もいる。私もそのひとり) マークのオージー英語のおかげで、あまり驚くことはなかったが、そ の後オーストラリアには3回行って、計1年間ほど滞在した。 今回のワールドカップ代表チームのスポンサーであるカンタス航空に 最初に乗ったとき、“Toilets are located in....”という機内アナ ウンスがあった。当然、トイレの場所の説明だが、アメリカやカナダ ではこのような説明は聞かない。北米で“toilet”と言えば“toilet bowl”つまり「便器」のことを指すので、「お手洗い」にこの語は使 われないのだ。“washroom”や“restroom”と言うのが普通である。 しかし、オーストラリアでは日本と同じ感覚で“toilet”が使われて いる。 オーストラリアに着いて気がついたのは、マークのアクセントがかな りきつめ(thick)であったことと、英語の幅である。 オーストラリ アの英語は、 イギリスのコックニー(Cockney;ロンドンっ子[特に 東部の下町に生まれ育った人たち]および、彼らの話す英語)に由来 がある。オーストラリアはもともと、囚人の島流しの場であったのだ が、ロンドン東部の下町は犯罪の多い所で、そこから大勢の人々が送 られたのが原因らしい。今でも“Aussies are descendents of those convicts.”(オージーはその囚人たちの末裔さ)と言う、口の悪い外 国人は多い。実際、現在のロンドンの下町っ子の英語の発音とよく似 ている。 英語の幅については、次のように説明できる。 まず、一般的オーストラリア英語がある。マークも含め大部分の人々 がこの範疇(はんちゅう)に入る。上述のコックニーにオージー的表 現が加えられて発展した、と考えてよいと思う。 アクセントの強弱は人によってかなりの差があるが、ラッセル・クロ ウやニコール・キッドマンは、このカテゴリーの中でもわかりやすい 発音のオージー英語である。新 TOEIC Test で使われるのは、間違い なくこのタイプであろう。 一般的オーストラリア英語とはいっても、 私の飲み仲間の“bloke” たち(お百姓さんが多かったが)の英語のように、ほとんど口を開け ないで発音され、よそ者には意味不明の言葉としか思えないものもあ る。聞き取るには、相当の慣れが必要だ。つまり、国際英語とはいえ ない。であるから、このタイプは新 TOEIC Test には採用されないは ずである。 いずれのタイプでも、 パブで“My shout!”と言っているのはすぐに わかるだろう。「おれのおごりだよ」ということ。パブの飲み代は注 文したその場で支払われることになっているが、慣習として、グルー プ全員の分(a round) を1人がこう言って支払うのだ。“shout”は 順番に交代して行うから、もしも8人のグループだったら、最低8杯 は飲むことになる。 ちなみに、 一気飲みする(drink up / bottoms up)のが当たり前な ので、そのうちに“Everyone gets pissed.”(みんな酔っ払う)こと になる(“get pissed”という言い方は、アメリカやカナダでは「頭 にくる、怒る」という、まったく違う意味になることに注意)。 話が横道にそれたので元に戻すと、上述の一般的オーストラリア英語 がある一方で、イギリスの“Queen's English”のような英語もある。 シドニー・オリンピックのときに、そのような英語が各会場のアナウ ンスなどで流れたのだが、 それを聞いたカナダ人が、“That's pure English. Beautiful!”(あれが純粋の英語だ。素晴らしい!)と言っ たのを思い出す。女王陛下には失礼ながら、若いアナウンサーのせい か、もっとはるかに美しい英語の発音で“music to the ears”(いい 音楽のように耳に心地よいもの)であった。 オージーの“cultivated speaker”(洗練された人)の英語は、イギ リスの“educated speaker”(教養のある人)の英語に大変似ている、 といえる。こちらのほうは、オーストラリアの人口の1割未満といわ れている。 なお、オージー英語には地方による違い(東京弁と大阪弁のような違 い)は基本的にない。これは、カナダも同様である。 ◆ In Shawn's Opinion (ショーンの意見では)◆ 今回のテーマとは関係ないのですが、気になっていることがあります。 それは、美しいテレビ・コマーシャルですが、 「日本の色彩、日本の美に、ゴッホは、憧れつづけていました」 という吉永小百合の声が流れるものです。 これが、私には適切な文章には聞こえないのです。編集長には理解し ていただけないようなのですが、私の英語の論理、習慣になれた耳に は、気になってしょうがありません。英語ではこういう言い方はしな いのです。 理由はいろいろありますが、そのひとつは「他人の感情」を述べてい るからです。これは、極論を言えば、本人しかわからないことです。 自分の感情や、物理的事実を述べることとは(たとえば 1945 年8月 6日に広島に原爆が投下された、というような)とは違うからです。 テレビなどの公の場では特に気をつけます。 では、どう言うかというと、この CM の例の場合は次のように表現し ます。 “It's been said that Van Gogh had profound admiration for Japan's colours and beauty." (……憧れていたと言われている) カナダやアメリカ、オーストラリアでは、普段の生活でも、他人の感 情の代弁は嫌われることが多いのです。 “I can only speak for myself.”(言えるのは自分のことだけ) ◆ Shawn's Discipline (ショーンの訓練)◆ オーストラリアの女子高生コーラスグループの英語の発音が、あまり に明瞭できれいなので、その私立学校の先生に秘訣を聞いたことがあ ります。答えは、“Discipline.”(訓練よ)のひとことでした。 さらに、その女子高生たちと同じ町(メルボルン)の住人なのに、私 の飲み友達たちの英語がわかりにくいことについても先生に聞いてみ ました。これに対しては、“They are lazy!”(その人たちは怠け者 だわ!)と一喝。よい発音をする努力が足りない、とのことでした。 先生の“Discipline.”という言葉は、 ひとつの「厳しさ」の表れ、 さらには「気骨」の表れだと思います。そういう指導の結果、生徒た ちが身につけるのは、歴史的な影響もあって、自然にイギリス的な英 語になるらしいのです。 “Good on you, mate!”(よかったね、君たち!) ◆ Shawn's Confession(ショーンの告白)◆ 上述の“fair dinkum”は、“Down Under”(北半球から見た地球の下 側=オーストラリアとニュージーランド)そのものの言葉ですが、実 はスペルを確認するまで、つまりつい昨日まで、私は“fate income” だとばかり思っていました。 両者は、声に出したら、ほとんど変わりません。そのせいで、「運命 の収入」が転じて「ほんとうに、まったく」という意味になったのだ と、勝手に解釈していたのです。まるまる 25 年間も、完全にそう思 い込んでいました。 耳だけでの学習には危険がある、ということの実例ですね。 それにしても、 この“fair dinkum”という言葉をオーストラリア人 に対して放ったら、受けること保障つき(It'll make them smile.) です。 ◆ Shawn's Sports News (ショーンのスポーツニュース)◆ 日本はクロアチアと引き分け(a draw)という結果に終わりました。 “Good on you, boys!”(よく頑張った、君たち!) ◆ Shawn's Unwanted Advice(ショーンの余計なアドバイス)◆ 日本のサッカーに足りないのは“killer instinct”です。ジーコ監 督の言う、「決定力」がこれ。 「殺しの本能」だから、 格闘技などだけに使う言葉と思ったら大間 違いです。 あの、紳士のスポーツ、ゴルフでもしょっちゅう使用さ れます。「止めを刺す」ことです。 “Alas, you can not acquire it; as it is, after all, an instinct.” (残念ながら、本能は生まれ持ったものさ) ◆ Classified: Position Wanted ◆ Seeking an interpreting (E/J)and/or teaching (English) position. Well experienced with solid track records in both fields. Japanese male, age 50, in excellent health. Based in Tokyo but will travel. If interested, please contact Shawn at number or address below. == 執筆者プロフィル Shawn Seki (ショーン・セキ) 30 年を北米で、20 年を日本で過ごす。和洋を行ったり来たりの人 生。自称「本邦初の現代口語英語評論家」。持論は、「英語は生き ている」、「英語はからだにイイ」。 現在、通訳・翻訳者として自動車業界の英国系コンサルティング会 社に勤務のほか、英語講師として活動中。 最近、外資系企業で、外国人社員のための日本語講師も始めた。 本人へのご意見・ご連絡は下記まで。 ご意見お待ちしております。 PHONE : 090-9291-4085 E-MAIL : skiskiski2000@hotmail.com ∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥☆SBS ELT NEWS☆    ~ 最新の輸入英語教材をご紹介 ~ http://www.schoolbookservice.com/ ☆SBS ELT NEWS☆‥∵‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∵ ■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【4】 あとがき 世間はワールドカップ熱にざわめきたっていますが、都内の 大学生協さんでは“脳がわかれば心がわかるか?”と銘打っ たブックフェアがあちらこちらで開催されています。 「哲学の劇場」というサイトの主宰者が主だった選書を行い、 それに各大学生協員さんの色をたして棚を作りあげました。 三省堂書店神田本店さんでは一足早く開催となったのですが、 先日大好評のうちに終了しました。 専門書が売れないと言われてしまう昨今ですが、提案の仕方、 手に取りやすくする方法を考え出せば読者の手元まで届けら れると力強く思いました。 現在のところ、東京大学・早稲田大学・慶應義塾の生協さん で開催中です。足をお運びになる機会があれば、ぜひこだわ りの棚をみてきてください。 (橋) □■哲学の劇場・・・ http://www.logico-philosophicus.net/ --------------------- ◆次号は7月5日配信予定です。 ◆当メルマガへのご意見・ご感想は担当の橋本までお寄せください。 → hashimoto@asahipress.com ◆バックナンバーはこちら → http://www.asahipress.com/eeclub/mm.html ────────────────────────────── メルマガの『文字や記号がずれて読みづらい』方は・・ Outlook Express をお使いの場合、(オプション)-(読み取り)-(フォント) で[MS明朝]や[MSゴシック]に設定して下さい。Mac や他のメー ラーをお使いの場合Osaka等倍など「等倍フォント」をお勧めします。 ────────────────────────────── ◆当メールは、EE Club にご登録いただき、配信を希望された方に 配信しています。 当メールの配信先変更/配信中止は、下記 URL よりログインして いただき、「会員情報変更」にてお願いします。 https://club.asahipress.com/ 朝日出版社:営業部 〒101-0065 東京都千代田区西神田3-3-5 TEL  :03-3263-3321 FAX  :03-5226-9599 E-MAIL:eeclub@asahipress.com http://www.asahipress.com/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━