**** 2008/01/23 ******************************************** ☆★ EE Club mail magazine ★☆ ~英語を“楽習”しましょ~ ******************************************** 第73号!***** 今日は一段と冷え込みますね。各地で雪が舞っているようです。 風邪をひきやすい時期ですので、体調管理は万全にしましょう! http://ee.asahipress.com/ ■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ contents ━━━━ 【1】 売行き良好書のご案内 【2】 大杉正明さん、インタビュー裏話 【3】 連載= Express Yourself 「当たり前」と「ありがとう」 【4】 あとがき ♯ハンドボール五輪予選 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■ 【1】 売行き良好書のご案内 □『がんのひみつ』 ★大増刷出来!!   中川恵一=著 定価714円 世界一のがん大国ニッポン、2人に1人が、がんにかかります。 「がんを知る」ことは、自分と大切な人を守ること。 クルマ選びも「がん治療」も、自分で考える時代、 日本人のための「がんの教科書」誕生! ⇒ http://www.asahipress.com/2008/gan.html □『死刑』   森達也=著  定価1,680円 知っているのに誰も知らない、僕らが支える死刑というシステム。 誰かが誰かを殺す。誰かが誰かに殺される。 できる限りは直視したい。知ったうえで考えたい。 罪とは、罰とは、命とは、なんだろう? 著者渾身の書き下ろし最新作、死刑をめぐる三年間のロードムービー。 ⇒ http://www.asahipress.com/2008/shikei.html ▼▽━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2】 大杉正明さん、インタビュー裏話 EE2月号の巻頭インタビューはテレビやラジオの英会話講師として おなじみの、清泉女子大学教授の大杉正明さんです。大杉先生の現 在のご活躍からは想像もできませんが、小さいころから学校の勉強 が大嫌いで、ロクに勉強もしなかったという、自称「劣等生」だっ たそうです。 その大杉先生の大きな転機となったのは、高校時代に出会った英語 教師の特訓。これをきっかけに英語への道を歩み始めました。その 後の英語への没頭ぶりは本誌をご覧いただきたいと思います。ここ ではイギリスに客員教授として招かれ研究した、辞書学についての お話をご紹介しましょう。 …………………………… (以下、 大杉正明さんインタビュー) Lexicography(辞書学)というのは辞書、辞典(事典)などについ ての科学的な研究のことを言います。意味の分け方は意味論、発音 表記は音声学といったように、辞書には言語にかかわる学問がすべ て凝縮されているんですね。 私の場合は、主に英語の辞書の研究で、英英辞典、英和辞典、和英 辞典などが対象です。 例えば、go という単語の意味はいくつに分 けるのか、何を基準に分けるのかという問題から、日本人の英語学 習者に適した辞書とはどういうものか、といったことまで考えます。 英語の辞書なら、対象が母語話者なのか学習者なのかによって、編 集方法も内容も当然まったく異なってきます。こういった研究をす る辞書学がここ30年くらい盛んになっているのです。 昔は名人や達人の知識と経験で作られていた辞書ですが、今はコー パスという、言語データを集積したものを利用し、コンピュータを 使って使用頻度の高い意味や例文を取り出していくという、しっか りとした科学的な根拠に基づいて作られています。だからこれから 辞書を買うときは、コーパスを元にしているかどうかをチェックす る必要がありますね。 ★…---…---…---…---…---…---…---…---…---☆ CNN ENGLISH EXPRESS のホームページ! 英語上達に効果抜群のコンテンツが盛りだくさん! http://ee.asahipress.com/ ☆…---…---…---…---…---…---…---…---…---★ ▼▽━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【3】 連載= Express Yourself <ビミョ~>な日本語、英語で言ってみよう! 〔 第34回 ★「当たり前のこと」を「ありがたい」と思えますか?        “take~for granted”〕 「ありがとうございます」という日本語にはとても強い力があると 思います。 それは「有り難い」と書くことからもわかるとおり、「希少価値が ある」、つまりなにかが存在すること自体に価値があるから、感謝 する、ということ。 日本人は昔から自然環境に対して「ありがたい」という畏敬の念を 抱いてきました。自然がそこにある、という「当たり前のこと」を 「当たり前」とせずにきちんと感謝してきたのです。 「自然」を「畏怖」するのではなく、利用すべき「資源」と捉える 「近代文明」によって地球環境が危機に貧している今、ワンガリ・ マータイ※さんが、 世界中に「mottainai」というコトバを広げよ うとしていることが象徴しているように、日本古来の「自然観」に 注目が集まっています(※ノーベル平和賞を受賞したケニアの環境 保護活動家)。 この「当たり前のこと」を「当たり前」とせずにきちんと「ありが たい」と感謝する日本語を英語で表現するにはどうすればいいでし ょうか。たとえば、 “take ~(something, it, etc.) for granted” という言い回しがあります。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━(研究社、新英和中辞典) take ~(something, it, etc.) for granted ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ (1)〈…ということを〉もちろんのことと思う 〈that〉 (2) (ありがたみを忘れて)〈…を〉当たり前のもの[当然なこと] と考える, 特に注意を払う必要のない人[もの]とみなす ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ たとえば、セレブの中のセレブと言われるパリス・ヒルトンは、 “take~for granted”を使って批判されることがよくあります: ┌──────────────────────────── “Paris Hilton must have realized in jail  that she was taking her luxurious life for granted.” (パリス・ヒルトンは、贅沢な人生のありがたみを忘れて  いたことに監獄の中で気が付いたはずだ) └──────────────────────────── “grant”は「与える・授ける」という意味ですから、“take~for granted”とは、 なにかを「所与のもの」として当たり前に受け取 ってしまう、ということです。 ここから、大金持ちの家に生まれた「放蕩(ほうとう)息子」など を批判するために使われることが多いんです。逆に否定形にすれば、 「当然だと思わない」→「ありがたみをわかっている、ありがたが る」の意味で用いることもできます: ┌──────────────────────────── “Despite the fact of having a millionaire father,  Mike paid the tuition by himself throughout college.  He's someone who does not take things for granted.” (百万長者の父がいるにも関わらず、マイクは大学の間  ずっと自分で学費を払った。  彼は自分の恵まれた育ちに甘んじることのない人間だ) └──────────────────────────── 後半部分の訳はとても難しいですね、すこし意訳してみました。 要するに“take~for granted”に“not”を付け足すことによって 「ありがたみのわかる」になるのです。 通訳をするときは、 私はこの“take~for granted”を、「ぜいた く」と置き換えることが多いですね: ┌──────────────────────────── “Paris Hilton takes everything for granted.” (パリス・ヒルトンはぜいたくだ) └──────────────────────────── あるいは、ニュアンス的には「ぜいたく・わがまま・甘やかされた」 といった意味合いが加わることがよくあります。パリス・ヒルトン に申し訳ないのですが、わかりやすい例なので、彼女にあてはめて みると覚えやすいでしょう(笑)。 「ありがとう」「感謝」と来て、あなたが思い浮かべるのが “appreciate” でしょう: ┌──────────────────────────── Colleague:“I've already informed that client about you        so you can get in touch with him directly.”   (同僚: もう君についてあのクライエント(顧客・取引先) には話しておいたから直接連絡を取っていいよ)    You:“Thank you, I really appreciate it.” (あなた: ありがとう、感謝するよ) └──────────────────────────── ここでは“appreciate”を「感謝する」と書きましたが、むしろ、 「恩に着るよ」くらいのほうがしっくりくるように思います。 それくらい“appreciate”は「感謝」の「度合い」がただの“thank you”よりも強くなるからです。 ただこの“appreciate”、とても奥が深い言葉なのです。 「感謝」にとどまらず、「理解」「認識」「価値の高騰」、はては 「批評」までと、意味のすそ野がとっても広いので、こんな使い方 も可能になります。 ┌──────────────────────────── “I can't really 【appreciate】  the 【appreciation】 of the oil price.” (原油の高騰はあんまりありがたくないね) └──────────────────────────── 次回はこの“appreciate”を取り上げたいと思います。 ┌──────────────────────────── “I'd greatly appreciate it if you could wait patiently  until our next meeting on ‘Express Yourself’!” (次回の『Express Yourself』でお会いするまで辛抱強く  待っていていただけると大変ありがたいです!) └──────────────────────────── ◇◆執筆者プロフィール◇七尾藍佳◇◆ コラムニスト(得意分野は国際関係&文学)。 東京大学教養学部地域文化研究科アメリカ文化卒業。 1978年5月26日 アメリカ合衆国ワシントンD.C.生まれ。 幼少期から大学までの11年間を日本の他、ジュネーブ、ソウル、 サンフランシスコなどで過ごす。 東京大学在学中には、交換留学生としてチリのカトリカ大学へ留学。 2003年4月より3年半、TOKYO FM 朝の番組でパーソナリティ。 現在は、日本テレビ夜の報道番組『NEWS ZERO』(月‐金)にて フィールドキャスターとして活躍中。 七尾藍佳公式HP→http://www.blooming-net.com/ (リンク先ページ右【七尾藍佳】アイコンより) ウェブコラム「Salut!」→ http://www.bloomingmarket.com/ (リンク先ページ左下【Salut! Nana's Fashion Tribute】より) ブログ→ http://ameblo.jp/nanao-aika/ ◆当連載へのご意見・ご感想は下記までお寄せください。  → yonezawa@asahipress.com ◇『Express Youself』WEB 版はこちら  → http://www.asahipress.com/serial/expressyourself/ ■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【4】 あとがき ここのところ、新聞やテレビでハンドボールの記事・特集を よく見かけます。すでに行われ、結果も出ているオリンピッ ク予選のやり直しという、前代未聞の事態、その経緯に関す るものです。 国際連盟とアジア連盟のやりとりも泥沼化の様相を呈してお り、事態収束の方向性が見えてきませんが、オリンピックの 意義を損なうことのないよう、解決を祈るばかりです。 高校時代、ハンドボール部に所属していましたが、当時は現 代表候補の宮崎大輔選手のようなスターもおらず、種目とし ての認知がとても低かったものです。 取り上げられ方はともあれ、日本でここまでハンドボールに 注目が集まったのは初めてのように思います。 来週、国立代々木競技場で行われる日韓戦に注目ですね。 (橋) □■今号の一冊・・・ 『だれが決めたの? 社会の不思議』 http://www.asahipress.com/2007/fushigi.html --------------------- ◆次号は2月6日配信予定です。 ◆当メルマガへのご意見・ご感想は担当の橋本までお寄せください。 → hashimoto@asahipress.com ◆バックナンバーはこちら → http://www.asahipress.com/eeclub/mm.html ────────────────────────────── メルマガの『文字や記号がずれて読みづらい』方は・・ Outlook Express をお使いの場合、 (オプション)-(読み取り)-(フォント) で[MS明朝]や[MSゴシック]に設定して下さい。Mac や他のメー ラーをお使いの場合Osaka等幅など「等幅フォント」をお勧めします。 ────────────────────────────── ◆当メールは、EE Club にご登録いただき、配信を希望された方に 配信しています。 当メールの配信先変更/配信中止は、下記 URL よりログインして いただき、「会員情報変更」にてお願いします。 https://club.asahipress.com/ 朝日出版社:営業部 〒101-0065 東京都千代田区西神田3-3-5 TEL  :03-3263-3321 FAX  :03-5226-9599 E-MAIL:eeclub@asahipress.com http://www.asahipress.com/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━