**** 2008/03/19 ******************************************** ☆★ EE Club mail magazine ★☆ ~英語を“楽習”しましょ~ ******************************************** 第77号!***** 今年2回目の TOEIC 公開テストが今度の日曜日に実施されます。 年明けからの学習成果が試されますね。http://ee.asahipress.com/ ■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ contents ━━━━ 【1】 TOEIC テストかけこみ対策に! 【2】「あたらすぃ~英語」、今月のお題は…? 【3】 連載= Express Yourself 英語で発言を「撤回」する 【4】 あとがき ♯言葉の重み ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■ 【1】 TOEIC テストかけこみ対策に! 新 TOEIC TEST 対策に特化したeラーニング・システム、 「u-CAT」(ユーキャット)が今、英語学習者の間で話題に! 類のない高機能をご利用いただくには、年間アカウント ガイドブックを購入していただくだけ! ◆『eラーニングによる新 TOEIC TEST 徹底レッスン』◆ 日本語版 Windows 2000 、XP、Vista 対応 定価2,940円(税込) ◎「u-CAT」紹介サイト開設中! ⇒ http://www.asahipress.com/u-cat/ ◎ EE Club 特別割引はこちら ⇒ https://club.asahipress.com/member/customer/member_enter.html  <好評 TOEIC 対策本>  ◆『新TOEIC TEST 攻略の王道【リスニング編】』   森勇作=著  定価2,100円   ⇒ http://www.asahipress.com/2008/toeic_listening.html ◆『新TOEIC TEST 攻略の王道【リーディング編】』 森勇作=著  定価2,100円   ⇒ http://www.asahipress.com/2007/toeic2.html ▼▽━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2】「あたらすぃ~英語」、今月のお題は…? EEホームページにて連載中の、新しく使われ始めた単語の訳を 読者の皆さんに考えて頂くコーナー「あたらすぃ~英語」。 今月のお題は、freegan です。 freegan とは、free(自由な、無料の)と vegan(完全菜食主義者) が合わさった造語。食べ物を無駄にする現在の供給システムに疑問 を抱いていることから、新しいライフスタイルを取り入れている人 たちのことです。 2月号の単語 linner の結果も発表しています。 皆さんから寄せられたおもしろい訳をたくさんご紹介しています! ご応募お待ちしています!           ▼  ▼ ◎ EEホームページ ◎   http://ee.asahipress.com/ 最優秀訳には、CNNj オリジナル携帯ストラップをプレゼント! ▼▽━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【3】 連載= Express Yourself      <ビミョ~>な日本語、英語で言ってみよう! 〔 第38回 ★ Oh~♪ 「不適切な発言」        Baby, I Want to Take It Back(撤回!)♪ 〕 最近、「撤回」という日本語をよく聞きます。特に日本の政治家か ら。 閣僚の「不適切な発言」を野党議員が「撤回しろ! 撤回しろ!」 と追及したり、選挙公約を次から次へと「撤回」する知事がいたり と、日本政界で「発言の撤回」は大流行中。  これを“Express in English!”。 英語で言ってみたらどうなるでしょう。 たとえばクリントン議員が医療保険制度の改革案について、「不勉 強だったので、提案した医療保険政策は非現実的でした。公約を撤 回します」と言ったとします: ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ “I was ignorant, and my medicaid policy was unrealistic.  I withdraw my pledge.” ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 英語に直すと「トンデモ発言」な感じが強まると思いませんか? そもそも、公に行った発言を「撤回する」などということは、アメ リカの言語カルチャーになじまない行為なのです。 (仮に、クリントン候補が大統領に選ばれた上で医療保険制度の政 策を「撤回」するようなことがあれば、おそらく彼女は“be impeached” =「弾劾され」、大統領職を追われてしまうのではないでしょうか…)。 では、「発言の撤回」に相当する英語をご紹介しましょう。 「陳述」「約束」などを「取り消す」「撤回する」場合は、少し堅 い表現になりますが、“withdraw”を使います: ┌──────────────────────────── “I 【withdraw】 my remarks and apologize.” (私は発言を撤回して謝罪します) └──────────────────────────── 意味として間違ってはいませんが、これが実際に使われることは滅 多にありません。  というのも、“withdraw”は法廷などの公的な場所で、提出された 証拠や証言などを「削除する」ときに使われるコトバなので、かな り正式なものになるからです。やはり日本の政界やマスコミで頻繁 に使われる「撤回」とは異なります。 私たち日本人が考える「発言の撤回」に意味的にいちばん近いもの は、口語で使われる“take back”でしょう: ┌──────────────────────────── “You should 【take back】 what you said about me,  it was a horrible thing to say!” (君は僕に関していったことを取り消せ、  ひどいことを言ったんだから!) └──────────────────────────── このように、主に他人から人格を否定されたときや、誹謗中傷(ひ ぼうちゅうしょう)されたときなどに、その発言を「撤回せよ」と いう意味で“take back”が使われます。 アメリカ映画やドラマのケンカシーンで、侮辱された側が、相手に 向かって、 “Take it back!” と必死の形相で叫んでいる場面って、けっこうあります。 気にして見てみてはいかがでしょうか。 もうひとつ、“eat one's words”という表現もあります。 直訳すると、「自分の言葉を食べる」となりますが、まさにその通 り。「前言を取り消す」という意味に使われます。 気をつけないといけないのは、“make (someone) eat one's words” =「前言を取り消させる」のように、 “make”や“force”をとも なって、【誰かに「強制され」「やむを得ず取り消す」】という使 われ方が多いことです: ┌【E-DICより引用】 ─────────────────── “If you make too definite a statement at this point, you may later end up having to 【eat your words】.” (この時点であまりはっきりしたことを言うと、  あとになって前言を取り消すというはめになりかねない) └──────────────────────────── この例文では、 “eat one's words”がまるで「脅し」のように捉 えられていることがわかります。 つまり、アメリカ人にとって、 “eat one's words”、 「自分の言葉を食べる」ことはとても「不 名誉」なこと。 また、 “back down” という表現もあります。 事業から「手を引 く」(“Mitsubishi Electric 【backed down】 from its mobile handset business.” =「三菱電機は携帯電話端末事業から手を引 いた」)という意味で使われることが最も一般的ですが、「非を認 める」を意味することもあります: ┌──────────────────────────── “The senator 【backed down】 on her contention  that the tax on gasoline is too high.” (議員はガソリン税が高すぎるという主張を取り下げた (撤回した))。 └──────────────────────────── 日本語の「撤回」はニュートラルな言葉ですが、英語の“back down” はそもそも「引き下がる」ですから、「非を認める」というネガテ ィブなニュアンスを元から含んでいます。 なぜでしょう。答えは簡単。「前言撤回」や「発言撤回」は自分の 非を認めることになるからです。 「アメリカ人は謝らない」とよく言われますが、それと同じで、そ うやすやすと自分の発言を「撤回」することもないのです。 撤回するとしても、“Take it back!”のように、 感情にまかせて 口走ってしまった罵言雑言や、事実と異なる「間違い」を犯したと きなど、明らかに自分に非があるようなときに限られます。 その代わり、もし間違っていたことがあとで指摘されたらどうする かというと、よく使われる表現が: ┌──────────────────────────── “I didn't mean it in that way.” (そういう意味で言ったんじゃない) └──────────────────────────── (笑)。これ、本当によく聞きますよ。他にもあります: ┌──────────────────────────── “It depends on the way you look at it.” (それは見方によるね) “It depends on your point of view.” “It depends on your perspective.” (それは視点・見方による) “It depends on where you are standing.” (それは立場による) └──────────────────────────── などなど、英語には論理的に「言い訳」=“excuse”を構築できる 表現がたくさんあります。 こと「言い訳」や「釈明」的な話になると、日本人顔負けの「びみ ょ~」なニュアンスを伝えられる表現がとっても豊富。 ひとつ、よい(?)例があります。 最近話題になった、オバマ大統領候補のスタッフだったサマンサ・ パワー氏の「ヒラリーは怪物」発言。 批判を浴び、ついには辞任に追い込まれましたが、彼女がオバマ事 務所を去るにあたって発表した謝罪コメントを見てみましょう: ┌──────────────────────────── “With deep regret, I am resigning from my role as an advisor  of the Obama campaign effective today.  …Last Monday, I made inexcusable remarks....  And I extend my deepest apologies to Senator Clinton,  Senator Obama.” (深い反省の念を持ち、今日を持ちまして私はオバマ選挙事務所の  アドバイザーとしての役職を辞させていただきます。  先週月曜日、私は弁解の余地のない発言をしました…  クリントン議員とオバマ議員に深く謝罪します) └──────────────────────────── “regret”は、「後悔する、悔いる、残念に思う」ですから、「残 念」と思われることが多いですが、「悲しみ・哀悼」の意味もあり、 なにかを「謝っている」場面で用いられる“regret”は、日本語の 「反省」に近いので、「反省」と訳しました。 “regret”は相当「反省」しているときに使われる言葉ですし、正 面から自らの「非を認め」た上で、「辞任」という形で「責任」を 取っています。 これは「完敗」と言えますが、むしろ、その潔さが「同情票」を集 めた結果、早めの火消しがオバマ候補の足を引っ張らずに済んだよ うです。 ところが! これだけ謝っておきながら、パワー氏は「モンスター発言」を「撤 回する」とは一言も言ってません! しかも、別のインタビューではこんなことを言っています: ┌──────────────────────────── “Of course I regret them.  I can’t even believe they came out of my words.” (もちろん反省(=後悔)しているわ。  あんなコトバが私の口から出て来たってことを  私自身信じられないくらいだもの) └──────────────────────────── あろうことか「私の口から出て来たってことを信じられない」と来 ました。 もちろん、それくらいの「トンデモ発言」だということを「認識」 している、という意味で言っているのでしょうが、ある種の「言い 訳」と取れなくもないですよね。 「本心ではヒラリー候補のことを<モンスター>だと思ってるんだ ろう」というツッコミが各所から入ったようですが、「あの発言は 事故のようなもので、本心ではない」という風に逃げられます。 一方で、「いやヒラリーは本当に<モンスター>なんだから、真実 を突いたパワー氏はあっぱれ!」なんていうエールを送る人に対し ては「腹の底の本音が出ちゃったのよ…」と密かに伝えることもで きるワケです(笑)。 (いずれにせよパワー氏には「確かに自分で言っているじゃないか!」 というツッコミが入ってしかるべきかと思いますが…) しかも、彼女の発言に関するアメリカ国内のコラムや社説を見ても 「発言を撤回しろ」という主張は見当たりません。 誰も「発言の撤回」など求めていないし、本人も「撤回」などはな から頭にありません。なぜって、言ってしまったことは既に起きて しまったこと。事実を消せるわけではないからです。 本来、自分の発言に伴うリスクは、当事者がきちんと背負うべきも の。 だからこそアメリカの公的な立場にある人々は、自分の発言にツッ コミが入ると、とことん論理的に応戦します。 政治家であればなおさらです。 有権者は自分が選んだ人物の主張について、よく知る権利がありま す。そして、パワー氏のようにどうしても弁解の余地がないときは、 きちんと落とし前をつける。 考えてみると、ほいほいと「発言を撤回」できる日本の一部の政治 家は、言ったことをなかったことにできるという特殊な発話機能を 持っている進化した人類なのか、もしくは机の引き出しにタイムマ シーンを隠し持っていて過去を変えることができるかのどちらかで しょう。 軽々しい「発言の撤回」が横行すれば、「何でもアリ」の政治カル チャーになってしまう危険性があります。 すぐ折れる日本人、なかなか折れないアメリカ人の特徴が「発言の 撤回」を “English”と日本語で検証することによって浮かび上が ってきました。 どちらがいいとも言いませんが、どれだけ「言い訳」がましく聞こ えても、自分の「コトバ」とその正しさにどこまでもこだわって戦 うアメリカ人の姿勢に、学ぶべきところもあるのでしょう。 それはつまり、「コトバの重み」があるからこその「戦い」なので すから。 ◇◆執筆者プロフィール◇七尾藍佳◇◆ 日本テレビ系列、『NEWS ZERO』フィールドキャスター。 東京大学教養学部卒。 ワシントンDC生まれ。 東京大学在学中には、チリ、カトリカ大学へ交換留学。 公式ブログ→ http://ameblo.jp/nanao-aika/ ウェブコラム「Salut!」→ http://www.bloomingmarket.com/ (リンク先ページ左下【Salut! Nana's Fashion Tribute】より) 公式ホームページ→ http://www.blooming-net.com/ ◆当連載へのご意見・ご感想は下記までお寄せください。  → yonezawa@asahipress.com ◇『Express Youself』WEB 版はこちら  → http://www.asahipress.com/serial/expressyourself/ ■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【4】 あとがき 『Express Youself』、 ボリュームたっぷりの内容でした が最後まで読んでいただけたでしょうか?38回目となった 当連載ですが、個人的には今号が一番はっとさせられるも のでした。 言葉の重み、というのは物心ついた頃から一番大事にして きたこと。口から出たこと、文字にしたことはその瞬間に 自分のもとを離れてひとり歩きをしだすものです。だから こそ、言葉を発するときは、その責任を負えるような覚悟 でいる必要があると思っています。 日本の政治において“失言”というのは古くからあったこ とですが、それにともなう“謝罪”が慣例化したのはいつ からのことでしょう。政治の世界を飛び越えて、芸能界・ スポーツ界までを巻き込んだ“謝罪会見ブーム”はどうい う経緯で生まれたのでしょう。 何かあったら謝罪しろ、責任をとれ、というメディア。 それでほとぼりが冷めるなら、とばかりに形式じみた会見 をする当事者。そして、それをおもしろがる外野。 「コトバの重み」なんてどこにもないように感じます。 自戒の念を深く込めて…。(橋) □■今号の一冊・・・ 『文体練習』 http://www.amazon.co.jp/dp/4255960291/ --------------------- ◆次号は4月2日配信予定です。 ◆当メルマガへのご意見・ご感想は担当の橋本までお寄せください。 → hashimoto@asahipress.com ◆バックナンバーはこちら → http://www.asahipress.com/eeclub/mm.html ────────────────────────────── メルマガの『文字や記号がずれて読みづらい』方は・・ Outlook Express をお使いの場合、 (オプション)-(読み取り)-(フォント) で[MS明朝]や[MSゴシック]に設定して下さい。Mac や他のメー ラーをお使いの場合Osaka等幅など「等幅フォント」をお勧めします。 ────────────────────────────── ◆当メールは、EE Club にご登録いただき、配信を希望された方に 配信しています。 当メールの配信先変更/配信中止は、下記 URL よりログインして いただき、「会員情報変更」にてお願いします。 https://club.asahipress.com/ 朝日出版社:営業部 〒101-0065 東京都千代田区西神田3-3-5 TEL  :03-3263-3321 FAX  :03-5226-9599 E-MAIL:eeclub@asahipress.com http://www.asahipress.com/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━