**** 2008/08/06 ******************************************** ☆★ EE Club mail magazine ★☆ ~英語を“楽習”しましょ~ ******************************************** 第86号!***** EE9月号が本日発売となりました。今号は北京五輪をイメージ した表紙です。ぜひ書店で確認を! http://ee.asahipress.com/ ■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ contents ━━━━ 【1】 本屋さんのブックレビュー、第3回更新! 【2】 EE9月号紹介 【3】 連載= Express Yourself “veteran”と海外メディアが報じた                  内閣改造、その真意は… 【4】 あとがき ♯北京五輪 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■ 【1】 本屋さんのブックレビュー、第3回更新! 朝日出版社HPにて連載中の「本屋さんのブックレビュー」、第3 回が更新となりました。 日々、膨大な量の新刊・既刊の中から棚を作り上げていく書店員さ んが、本当に面白い!と思った1冊をご紹介する当連載。 今回は、本年の本屋大賞受賞作の知られざる読みドコロを紹介して います。ぜひアクセスください!  ⇒ http://blog.asahipress.com/bookreview/ <好評バックナンバー> ◎第1回『歌舞伎のかわいい衣裳図鑑』 http://blog.asahipress.com/bookreview/2008/07/vol_10_46c7.html ◎第2回『クライマーズ・ハイ』 http://blog.asahipress.com/bookreview/2008/07/post_9f20.html ▼▽━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2】 EE9月号紹介 ◆ 特集  ̄ ̄ ̄ ̄ 短い言葉の中に教訓や人生の真理を巧みに言い表した「ことわざ」。 ふだん私たちは何気なく使っていますが、日本語を学ぶ外国人が頭 を悩ますのが実は日本のことわざや慣用句です。「馬の耳に念仏」 「猫に小判」などの日本語特有の言い回しは、単純に直訳するだけ では外国人には通じません。 今月は、カリスマ英語講師ディビッド・セインが、そんな日本のこ とわざ・慣用句をずばり英訳。通じる「日本のことわざ・慣用句」 英語版を伝授します。 ◆ アンダーソン・クーパー360°  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 全米が騒然となった、女子高生の「妊娠協定」について取り上げま す。ある高校で、生徒17人が集団妊娠していることが発覚しました。 米タイム誌が、彼女たちの間で「妊娠協定」があったと報道したこ とで、全米は大騒ぎとなりました。妊娠した生徒の1人がテレビ番 組で「協定」の存在を否定したため、真相はわかりません。しかし、 なぜ15~16歳の少女たちは妊娠することを選んだのでしょうか。番 組ゲストの臨床心理医が、10代を取り巻く環境や10代の考え方を交 えて、その理由を語ります。 ◆ カッティング・エッジ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 病的な肥満に悩む人のための肥満治療手術を2つ紹介します。1つ は「胃バイパス手術」で、胃を大小2つに分け、小さい方の胃に小 腸を接合する方法です。もう1つは「ラップバンド手術」で、胃の 上部をバンドで締めつける方法です。どちらも、胃を縮小させるこ とで食事の量を制限するもので、命にかかわる危険な肥満を解決す る究極の治療法です。 ◆ ショウビズ・トゥデイ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 今年2月にニューアルバム『想い出のリヴァプール』をリリースし た元ビートルズのドラマー、リンゴ・スターのインタビューを紹介 します。生まれ故郷であり、活気あふれる音楽都市リバプールにつ いて、また、バンドでのドラマーの役割や自身のスタイル、そして 影響を受けたアーティストについても話してくれました。 ★…---…---…---…---…---…---…---…---…---☆ CNN ENGLISH EXPRESS のホームページ! 英語上達に効果抜群のコンテンツが盛りだくさん! http://ee.asahipress.com/ ☆…---…---…---…---…---…---…---…---…---★ ▼▽━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【3】 連載= Express Yourself      <ビミョ~>な日本語、英語で言ってみよう! 〔 第47回 ★ ミスター福田の「ベテラン内閣」、 veteran になると… backlash が始まる?! 〕 暑中お見舞い申し上げます。もうすぐお盆休み、あとひといき! という感じですね。 ところが、福田政権はあとひといきどころか内閣改造を終えてこれ からが正念場、いばらの道は続くようです。 この原稿は、改造当日の夜に執筆しているので、今回は「カイゾー in English」がテーマ。 世界は日本の一大ニュースをどう伝えたのでしょう。 AP通信やイギリスの『エコノミスト』の記事を見てみますと、ま ず「内閣改造」は ┌──────────────────────────── shuffling (もしくは reshuffling) of the cabinet └──────────────────────────── とされています。 shuffle とは日本語でも「シャッフルする」と言うように、「入れ 替え」という意味で、組織などの改変に使われます。 今回の改造では、かつて大臣を経験したことがある「ベテラン議員」 の「再登板」が目立ちました。実際、英語メディアの「内閣改造」 を伝える記事には ┏━━━━┓ ┃veteran ┃ ┗━━━━┛ という単語が目立っています。 日本語でも「ベテラン」と言いますが、「経験を積み、その道に熟 達している人」(『精選版 日本国語大辞典』)でポジティブな意 味合いが強いですね。でも、英語ではちょっとニュアンスが違いま す。 veteran は、たとえば a veteran of mechanics、veteran of shoemaking など、「機械のベテラン」や「靴づくりのベテラン」 など、「なにかのベテラン」ということで of~ と来れば「老練者・ 熟練者」という意味でカタカナ英語の「ベテラン」と同じ。 ところが、veteran には「古参兵・退役軍人・老練兵」の意味もあ ります: ┌──────────────────────────── Vietnam 【veterans】 (ベトナム戦争【退役軍人】/ベトナム【帰還兵】) Senator John McCain is 【a veteran of】 Vietnam. (マケイン上院議員はベトナム【帰還兵】である) U.S. 【veterans】 in Iraq (イラク在留の米軍【古参兵】) └──────────────────────────── 今回の内閣改造に関する英語メディアの記事では、私が見た限りで はどれも「熟練者(日本的な意味での<ベテラン>)というよりは 「古参兵・退役軍人」に近いニュアンスで veteran を使用してい ます。 たとえば、こちらの『エコノミスト』の記事をご覧下さい: ┌──────────────────────────── The new team is packed with responsible 【veterans】 who favour cutting spending and increasing taxes to place Japan's economy on a healthier long-term footing. (新チームは、長期的により健全な日本経済の基礎を  作るために歳出削減・増税を支持する責任感のある 【veteran】で埋め尽くされている) Economist.com “Reshuffling the deck/Aug 1st 2008” → http://www.economist.com/world/asia/displayStory.cfm?story_id=11869741&source=features_box_main └──────────────────────────── この部分だけを見ますと、確かに「熟練した人」というふうに取る ことももちろん可能です。ただ、「古い時代の人が引っ張り出され てきた」というような日本語の「古参兵」にもあるややネガティブ なニュアンスが実は本当のメッセージであることが次の文章でわか ります: ┌──────────────────────────── The new team, despite being filled with 【old political soldiers】, is promising. But can it actually carry through on serious policy? Probably not. (【政界の古参兵】で占められてはいるものの、  新しいチームには期待できる(見込みがある)。  では実際に本格的な政策を実行できるだろうか?  多分無理だろう) └──────────────────────────── ここにはそのものズバリ「古参兵」という表現、old political soldiers が出てきます。 しかも、皮肉なことに、たしかに力量の ある人材はそろった、と評価はしているものの、「政策を実行」で きるかどうかに関してはぴしゃりと「否!」をつきつけています。 要するに「評価できない」と言っているようなもの。 なぜ無理なのかと言えば、それは暗雲たれ込める世界経済から「ね じれ国会」、日本国民の「空気」にいたるまで、あまりに条件が悪 いから、ということのようです。 きわめつけなのが、 ┌──────────────────────────── old-guard └──────────────────────────── という表現。 ┌──────────────────────────── Japanese Prime Minister Yasuo Fukuda picked a new cabinet today that combines 【old-guard】 legislators with several reappointments in an attempt to restore confidence in his leadership amid flagging public support. (日本の福田康夫首相は、支持率が低迷する中、  指導力への信頼回復を目指し今日、  複数の再入閣者と【伝統的な保守系】議員からなる  新しい内閣を組閣した) THE ASSOCIATED PRESS canoe.ca“Japan's PM shuffles cabinet/August 1, 2008” → http://cnews.canoe.ca/CNEWS/World/2008/08/01/6327781-ap.html └──────────────────────────── アメリカで The Old Guard と言えば、 一般的には共和党内の保 守派を表します。アメリカ以外の国では、フランス語の Vieille Garde の訳から「伝統的な保守派」を意味します。 つまり、「古い意見を持つ人、政党などの保守(反動)派」(ラン ダムハウス英和辞典)です。このような単語が使われる背景には、 日本に対するどのような視線があるのでしょうか? やはり、いろいろな論調を見ていると、海外から見た場合、金融を 含めたビジネス全般において、日本はまだまだ「改革不足」: ┌──────────────────────────── Japan needs a further reform. (日本にはもっと改革が必要だ) └──────────────────────────── という意見が大勢を占めるようです。ですから、知識も経験ある 「政界の古参兵」が引っ張り出されてきた、確かに彼らに能力はあ る、でもこの危機的状況においては、「改革」への反動として登場 した、と取らざるをえないし、肝心の政策も(ねじれ国会という現 実的な障壁を含めて)期待薄である、というのが今回の内閣改造に 対する海外メディアの本音と言ってよいでしょう。 「反動」は「反動勢力」など、日本語でもなにか新しいものが出て くると、それに抵抗する勢力、という意味で使われますが、英語で は reaction。 ただ、reactionary となると「保守反動的」なので、 政治的な色がついてしまいます。小泉元首相が使った「抵抗勢力」 の方が訳として適当かもしれません: ┌──────────────────────────── Prime Minister Koizumi fought against the 【reactionaries】 in his party to carry out the reform. (小泉首相は改革を実行するために党内の【抵抗勢力】と戦った) └──────────────────────────── ちなみに、reactionary(保守反動的)と、conservative(保守的) の違いは何でしょうか? conservative は連綿(れんめん)と、 ずっと<保守>でいる人々、 また彼らの政策について。 一方 reactionary というのは、 それまでの大きな流れが<リベラ ル>であったときに、その流れに不満な人々が<反動>として<保 守的>になる、ということです。reactionary の方がより流動的、 かつ不安定です。 では、保守でもリベラルでもどちらの方向でもありうる「反動」の 場合なんと言えばいいのでしょうか? それは、 ┏━━━━━┓ ┃ backlash ┃ ┗━━━━━┛ です。これは政治的には「ニュートラル」な言葉。ただ、反動の 「力」としては reaction よりもずっと強く、たくさんの人がなに かについて急激に「否定的」な態度を取る、という意味。 たとえば: ┌──────────────────────────── The support for Senator Obama came as a 【backlash】 against President Bush's policy on Iraq. (オバマ上院議員への支持は、ブッシュ大統領のイラク政策に  対する【強烈な反発・反動】として生まれた) └──────────────────────────── ただ、「強烈な反発」といっても backlash の「強烈さ」はどう もうまく伝わりません。「一気に」「どっと」などを補った方が より正確に英語のニュアンスを保てます: ┌──────────────────────────── ブッシュ大統領のイラク政策に対する【反発がどっと】起きて、 その【反動】がオバマ支持となった └──────────────────────────── というふうに。 アメリカ国民は、二大政党の間を backlash で行ったり来たりす る、とも言われていますが、完全な二大政党制にはなってない日 本ではそれほどはっきりとした backlash は起きないのでしょう。 でも、国民の我慢は間違いなく「限界」に来ています。 「日本型 backlash」 はじわじわと水面下で広がりつつあるのか もしれませんね。ということで最後はこの英文でしめくくりたい と思います: ┌──────────────────────────── One can only hope that Mr. Fukuda's “shuffle of the cabinet” won't be seen as “【reactionary】.” But if that is the case, then we might as well get ready for a huge 【backlash】. (福田総理の「内閣シャッフル」が「【保守反動的】」と  捉えられないように祈るしかありませんが、  もしそうだとすれば、大きな【バックラッシュ】に向けての  心構えをしておいた方がいいかもしれません) └──────────────────────────── ◇◆執筆者プロフィール◇七尾藍佳◇◆ 日本テレビ系列、『NEWS ZERO』フィールドキャスター。 東京大学教養学部卒。 ワシントンDC生まれ。 東京大学在学中には、チリ、カトリカ大学へ交換留学。 公式ブログ→ http://ameblo.jp/nanao-aika/ ウェブコラム「Salut!」→ http://www.bloomingmarket.com/ (リンク先ページ左下【Salut! Nana's Fashion Tribute】より) 公式ホームページ→ http://www.blooming-net.com/ ◆当連載へのご意見・ご感想は下記までお寄せください。  → yonezawa@asahipress.com ◇『Express Youself』WEB 版はこちら【★ URLが変わりました!】  → http://blog.asahipress.com/express_yourself/ ■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【4】 あとがき いよいよ北京五輪が開幕されますね。今回は時差がほとんど ないので、寝不足に悩まされることもなさそうです。 全種目見逃せませんが、なんといっても野球。個人的に。 次回のロンドン五輪の正式種目から外されたこともあり、北 京で悲願の金メダルを…という思いは選手・関係者ともども 非常に強いことでしょう。 肝心のテレビ中継はというと、日本戦の大半はゴールデンタ イムに行われるようです。仕事を早めに切り上げて、手に汗 握る試合観戦ができそうですね。 投手陣の活躍、ベンチの継投術に注目。(橋) □■今号の一冊・・・ 『この写真がすごい2008』 http://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255004396/ --------------------- ◆次号は8月20日配信予定です。 ◆当メルマガへのご意見・ご感想は担当の橋本までお寄せください。 → hashimoto@asahipress.com ◆バックナンバーはこちら → http://ee.asahipress.com/eeclub/easy.html ────────────────────────────── メルマガの『文字や記号がずれて読みづらい』方は・・ Outlook Express をお使いの場合、 (オプション)-(読み取り)-(フォント) で[MS明朝]や[MSゴシック]に設定して下さい。Mac や他のメー ラーをお使いの場合Osaka等幅など「等幅フォント」をお勧めします。 ────────────────────────────── ◆当メールは、EE Club にご登録いただき、配信を希望された方に 配信しています。 当メールの配信先変更/配信中止は、下記 URL よりログインして いただき、「会員情報変更」にてお願いします。 https://club.asahipress.com/ 朝日出版社:営業部 〒101-0065 東京都千代田区西神田3-3-5 TEL  :03-3263-3321 FAX  :03-5226-9599 E-MAIL:eeclub@asahipress.com http://www.asahipress.com/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━