**** 2008/08/20 ******************************************** ☆★ EE Club mail magazine ★☆ ~英語を“楽習”しましょ~ ******************************************** 第87号!***** 連日、熱戦の模様が伝えられている北京五輪も、閉会式まで残り わずか。力を出し切る選手の姿に、気持ちがふるいたちますね。 http://ee.asahipress.com/ ■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ contents ━━━━ 【1】 売行良好書のご案内 【2】 サンディーさん、インタビュー裏話 【3】 連載= Express Yourself 「生意気」は英語で? 【4】 あとがき ♯甲子園記念大会 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■ 【1】 売行良好書のご案内 □『ヨガから始まる』 ★大増刷出来!!   ケン・ハラクマ=著 定価1,260円 ― 心と体をひとつにする方法 日本で一番多くヨガの指導者を輩出する、「インターナショナルヨ ガセンター」主宰でもあり、日本のヨガの第一人者でもある著者が 一般向けに初めて書き下ろしたヨガの入門書。 今からすぐに始められる、呼吸、ポーズ、食事、考え方の実践をわ かりやすく語る。ヨガをしている人にも、これからヨガを始めよう と思っている人にも最適の一書。 ⇒ http://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255004402/ □『畑のある生活』   伊藤志歩=著 定価1,260円 ― 農家の時代がやってきた 小さなカフェを始めるように、農家になった若者たち。 インターネットで農家と消費者の橋渡しをする著者が、農家という 持続可能な生き方と、地球と向き合う仕事の魅力を伝える。 ⇒ http://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255004419/ ▼▽━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2】 サンディーさん、インタビュー裏話 EE9月号の巻頭インタビューは、抜群の歌唱力で日本よりも海外で の評価の高いシンガー、そしてハワイアンミュージックの第一人者 であり、フラの正統な後継者“ウニキ・クムフラ”の称号を持つサ ンディーさんです。 サンディーさんは今のフラブームの先駆者であり、多くのファンを 持つカリスマ的存在。10代のころからハワイで暮らしたバイリンガ ルで、現在はハワイ語とタヒチ語を勉強中。そのあたりのお話は本 誌で紹介していますが、英語には不自由しないサンディーさんにと って、重要なのは言葉よりも伝えたいという気持ち。宇宙を感じな いと踊れないというフラを学びながら、動物、植物、太陽、海とい った自然界の言葉を持たないものとの交感が、その考えを強くした のではないでしょうか。ここではサンディーさんの旅のエピソード をご紹介しましょう。 …………………………… (以下、サンディーさんインタビュー) ジャマイカにレコーディングに行ったときのことなんですが、あそ こはシングリッシュ(シンガポール英語)のような、なまりのある ジャマイカ英語を話すんです。ある日、犬が入ってはいけない場所 に私が犬を呼んでしまったら、周りの人にダメって言われて、かわ いそうにと思いながら "Go away." と言っても、犬は全然知らん顔。 そこに現地の方が現れて「グエ」(注:エは促音ではない)と言っ たら、すっと逃げていきました。 "Go away." が「グエ」で、ここ ではそういう言い方をしないと通じない。だから現地に飛び込んで、 そこの言葉を吸収するのは面白いですね。 私は旅も大好きです。旅をするとどの国の人も同じで、みんな一生 懸命がんばって生活しているって分かるし、自分の戻る場所も見え てくるし、毎日同じで飽きちゃうなと思う平凡な生活のいとおしさ も感じますから。いとおしいなって思うと、私たちが住んでいるこ の地球もいとおしくて、ずっと輝いていてほしいって思うから、地 球に対して何をすればいいんだろうって、そこまで考えてしまうん ですよ。 私が今こうやっていられるのはフラのおかげで、だからハワイにも いっぱいお返しがしたい。すごくいいなって思う言葉があって、そ れは "pay forward" という言葉です。 何かを与えてくれる人にお 返しするだけがお返しではなくて、次のジェネレーションにお返し しなさい、という意味なんですよ。すてきだと思いませんか(笑)。 ★…---…---…---…---…---…---…---…---…---☆ CNN ENGLISH EXPRESS のホームページ! 英語上達に効果抜群のコンテンツが盛りだくさん! http://ee.asahipress.com/ ☆…---…---…---…---…---…---…---…---…---★ ▼▽━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【3】 連載= Express Yourself      <ビミョ~>な日本語、英語で言ってみよう! 〔 第48回 ★ <生意気>in English なら 「フレッシュな心意気」~コッキー(cocky)?! 〕 突然ですが、あなたは誰かに「生意気」と言われたことはあります か? 先日、海外経験も長く、現在も外資系の会社に勤めている方々と食 事をする機会がありました。そのとき、日本の組織だと、若い人が 頑張れば頑張るほど「生意気」と言われてしまいがちだ、という話 が出ました。その場にいた一人が、  「外資系の会社で<生意気>なんて聞いたことないな。   そもそも英語に<生意気>って単語自体が   存在しないんじゃないの?」 と言い出したのです。これを聞いて私は、「生意気」というコトバ には日米の間にある深~い文化的ミステリーが潜んでいるのでは? と考えました。 言われてみると、「生意気」というコトバはとても日本的。まず、 日本語の意味から見てみましょう: ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃● 生意気(なまいき)  (日本国語大辞典) ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃その柄ではないのに意気がった言動をすること、 ┃また、それにふさわしい身分や年齢ではないのに ┃出すぎた言動をすること。知ったかぶりをしたり、 ┃きざな態度をとること   ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 要するに、「年齢や立場で言えばまだまだ若輩者なのに、身の程を わきまえず物を言う」ということです。 では「意気」はどうでしょうか? ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃● 意気(いき)  (日本国語大辞典) ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃心に溢れる元気。気合。気概。いきごみ。 ┃気だて。心映え。気まえ。気性。きっぷ。 ┃意気地のあること。心意気 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ この「意気」、夏目漱石の『それから』に出てくるので英訳してみ ましょう: ┌──────────────────────────── 「僕はあの時の君の【意気】に敬服している」 └────────────────────────────    ↓   英訳すると… ┌──────────────────────────── I was deeply impressed by the 【spirit】 you have shown then. └──────────────────────────── この「意気」には、 energy、will なども当てはまりそうですが、 いちばんしっくりくるのは spirit のように思います。 日本でも、「いい意味で生意気」というフシギな表現を最近よく耳 にするようになりましたが、英語で「いい意味で生意気」と言うと きに spirit はよく出てくるのです。 たとえば、新しい商品の企画を、部署の全体会議で若い社員が発表 したあと、上司がこんなふうにねぎらいます: ┌──────────────────────────── You've shown great 【spirit】 there, everyone seemed to be impressed by your proposal! (すばらしい【心意気】を見せてくれたね、  みんな君の提案に感心していたよ!) └──────────────────────────── あるいは「気合が入ってたね」「やる気を感じさせてくれたね」と 訳してもいいでしょう。 spirit はカタカナ英語でも「チーム・ス ピリット」などで使いますが、これはただ単に「チーム精神」とい うより、「チームの気概・気骨」に近いものです。 こうやって見てみると、「意気」はもともと悪いものではないこと がわかります。「生」と「意気」に分けて「生意気」を直訳してみ ると: ┏━━━━━━┓ ┃fresh spirit┃ ┗━━━━━━┛ つまり、若々しく、エネルギーにあふれている精神、気だて、心構 え。もし本当に日本語でもこの意味だったら「君は生意気だね!」 なんて言われたらとっても嬉しいことでしょう。 でも実際には、「意気」に「生」がつくと「熟していない」「未熟」 ということから「まだ若いクセに」となる……うーむ、残念(苦笑)。 英語で、この「悪い意味の」<生意気>にいちばん近いと思われる のは cocky です: ┌──────────────────────────── Mike is such a 【cocky】 guy, he acts as if everyone in the team should listen to what he says. (マイクは本当に【俺様、俺俺】なヤツだ、  まるでチームのみんながアイツの言うことを聞かなきゃ  いけないって思ってるみたいだ) └──────────────────────────── 単純に訳せば「マイクは生意気」でもいいのですが、なにかが違い ます。 というのも、 英語の cocky というコトバはもともと「雄鳥」から きていて、たけだけしい雄の鶏のイメージがあるんです。 だから、確かに自信過剰かもしれないし、つけあがっているかもし れないけど、その勢いで戦いに勝ってしまうような、そんな「若々 しい強さ」を感じさせるコトバです。 一応ここでは「俺様な」「俺俺な」と訳しておきましたが、最近よ く聞く「俺俺な」人というのは、実力と結果が「伴わない」人を表 すので、やはり cocky のイメージとは違うところがあります。 上の文章のように体育会系の男性の間 ★(→【女性に cocky は使 えない?】本文に続く“Tips”参照) ではよく cocky というコト バは出てきますが、必ずしも「悪口」とは限りません: ┌──────────────────────────── Mike is so 【cocky】, but he makes people listen to him. That's why he always gets the biggest deal in town※. (マイクは本当に【自信過剰でいけすかないヤツ】だけど、  でもアイツの話にはみんな耳をかたむけるんだよ。  だからいつもいちばん大きな取引はヤツが持ってくんだ) ※【最上級+in town】は、「町(この辺り)でいちばんの~」   成句的に「とっても~」という強調として使われることが多い。   例:prettiest girl in town =「この辺りじゃいちばんの    カワいい娘、この辺りじゃとびきりのカワいい娘」 └──────────────────────────── なんとなく cocky の雰囲気、伝わりましたか? つまり、アメリカでは、たとえその人物が「生意気」だったとして も、それ自体が特に批判の対象になるのではなく、あくまで「結果」 で判断する、だから日本語の「生意気」のような「若いのに物申す」 ことに対して強い否定的意味合いのあるコトバは存在しないと言っ てもいいでしょう。 cocky を英英辞典で引いてみると、 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃● cocky(オックスフォード現代英英辞典) ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃too confident about yourself ┃in a way that annoys other people ┃(他人を不快にするくらい自分に自信があること) ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ とあります。 <生意気>というよりはむしろ「自信過剰」に近いですね。 ちなみに、cocky の語源である cocc は、中世では「雄鳥のように 歩く者」に対して使われたニックネームで、下働きや、見習い、召 し使いなどの低い身分にある「生意気」な若い男を指したそうです。 つまり、西洋にも「身分・立場・年齢」が言動を制限するというこ とが色濃くコトバの中にあらわれた時代があったということですが、 それにしても中世ですから、相当昔のこと。 一方日本では、「出過ぎた行動」に対して即座に出される「レッド カード」のようにもなっている「生意気」。「生意気レッテル」を 貼るということは、どこかしら人格まで否定するような攻撃力を持 っています。 そうではなく、この言葉が本来持っている「意気」にもっと目を向 ければ、若い人の芽を摘まずに「フレッシュな心意気」を伸ばして あげることができるのではないでしょうか? …という「生意気」な提案で今回のコラムのシメとさせていただき たいと思いますが、果たしてこれは“fresh spirit”なのでしょう か、それとも「生意気」なのでしょうか。 ◆◇Tips◇◆ ★【女性に cocky は使えない?】 女性にも cocky が使えないわけではありませんが、 女性に対して は sassy が使われます。ただこの sassy、日本語で言えば 「生意 気」というよりは「おきゃんな」に近く、「おきゃん」と同様に現 代英語ではかなり「死語」化の傾向がありますので、使うときは注 意した方がいいでしょう。いずれにせよ、cocky は男性に対して使 った方が無難です。ただかなりくだけた表現なので、改まった場所 ではあまり使わない方がいいでしょう。 ◇◆執筆者プロフィール◇七尾藍佳◇◆ 日本テレビ系列、『NEWS ZERO』フィールドキャスター。 東京大学教養学部卒。 ワシントンDC生まれ。 東京大学在学中には、チリ、カトリカ大学へ交換留学。 公式ブログ→ http://ameblo.jp/nanao-aika/ ウェブコラム「Salut!」→ http://www.bloomingmarket.com/ (リンク先ページ左下【Salut! Nana's Fashion Tribute】より) 公式ホームページ→ http://www.blooming-net.com/ ◆当連載へのご意見・ご感想は下記までお寄せください。  → yonezawa@asahipress.com ◇『Express Youself』WEB 版はこちら【★ URLが変わりました!】  → http://blog.asahipress.com/express_yourself/ ■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【4】 あとがき 北京五輪の影に隠れる形となった今夏の高校野球選手権ですが、 開幕から一昨日行われた決勝戦まで、目の離せない激戦ばかり でした。 なんといっても、今大会の特徴は集中打によるビッグイニング。 単打の連打、ランナーをためての本塁打などにより、大量得点 を挙げるシーンを何度も目にしました。 背景には打撃技術の向上が当然ながらありますが、相手の勢い を断ち切る投手力・守備力が若干弱かったように感じました。 決勝で敗れはしましたが、常葉菊川の超攻撃的スタイルは高校 野球の概念にとらわれないもので、鮮烈な印象を残しました。 エース戸狩投手はひじ痛を抱えながらのピッチング。漫画『ド カベン』をほうふつとさせるキャッチボール投法でマウンドに あがりつづける姿に勇気をもらいました。 各選手の、今後が強く期待されますね。(橋) □■好評連載中!・・・ 『本屋さんのブックレビュー』 http://blog.asahipress.com/bookreview/ --------------------- ◆次号は9月3日配信予定です。 ◆当メルマガへのご意見・ご感想は担当の橋本までお寄せください。 → hashimoto@asahipress.com ◆バックナンバーはこちら → http://ee.asahipress.com/eeclub/easy.html ────────────────────────────── メルマガの『文字や記号がずれて読みづらい』方は・・ Outlook Express をお使いの場合、 (オプション)-(読み取り)-(フォント) で[MS明朝]や[MSゴシック]に設定して下さい。Mac や他のメー ラーをお使いの場合Osaka等幅など「等幅フォント」をお勧めします。 ────────────────────────────── ◆当メールは、EE Club にご登録いただき、配信を希望された方に 配信しています。 当メールの配信先変更/配信中止は、下記 URL よりログインして いただき、「会員情報変更」にてお願いします。 https://club.asahipress.com/ 朝日出版社:営業部 〒101-0065 東京都千代田区西神田3-3-5 TEL  :03-3263-3321 FAX  :03-5226-9599 E-MAIL:eeclub@asahipress.com http://www.asahipress.com/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━