会員ログイン 新規登録

巻頭インタビュー・アーカイブ

「話さなければ生きていけない」
香港映画の撮影現場で体得した英語
純名りさ RISA JUNNA
[女優]
取材・文:竹野みつえ 撮影:蔵 真墨

今回のゲストは宝塚歌劇団のトップ娘役として活躍した純名さん。群を抜いた美しい歌声と歌唱力には定評があり、昨年、アルバムをリリース、その実力を見せ つけた。舞台や映画の海外作品にも出演を重ね、英語力もハンパではない。まさに「好きこそものの上手なれ」の好例で、ミュージカルを愛する気持ちが人一倍 強く、英語が好きという気持ちも強い。「表現することが好きで、いろいろなジャンルの表現にチャレンジしたい」と言う純名さんにとって、ミュージカルをは じめとする多彩な仕事の同一線上に、英語で表現しコミュニケートすることがあるのかもしれない。

純名りさ(じゅんな・りさ)大阪府生まれ。1990年宝塚音楽学校を首席で卒業後、宝塚歌劇団に入団。初舞台は『ベルサイユのばら』、翌年には抜群の歌唱力によって『微笑みの国』の初ヒロインに。『How to Succeed』を最期の舞台にユ96年退団。在団中NHK朝の連続テレビ小説『ぴあの』に出演。2002年の香港映画『Midnightfly/夜間飛行』に主演し、自身が歌った主題歌が台湾のベスト・オリジナル・フィルムソング賞を受賞。近年では、『信長』、『ブルーストッキングの女たち』、『LOVE 30 VOL.2』、『三つの悲劇』など多彩な舞台でヒロインを演じ、『ゾウのはな子』などのテレビ番組に出演を重ねる。また現在、東京FMではラジオのパーソナリティーも務めている。本文で紹介しているNHK教育の英語アニメ(『リトル・チャロ〜カラダにしみこむ英会話〜』月曜日/夜11時30分〜50分/3 月31日放送開始)ではその英語力を買われて主人公役の声優を担当するなど、舞台・映画・テレビ・CM界を縦横無尽に活躍中。

何が何でも伝えるという気持ちが英語力を伸ばした

−純名さんは、いつごろ、どのようにして英語を身につけられたのですか。

純名:学生のころから英語は好きでしたが、私が英語に目覚めた最大のきっかけは、2002年に香港映画『Midnightfly/夜間飛行』に出演したときです。香港での撮影では、監督や香港のスタッフと、広東語は無理ですから英語でコミュニケートしなければなりませんでした。もちろん通訳の方がいらっしゃいましたが、いくら上手に訳してくださっても、監督の本意や心の中まで分かるには、お互いに相手の表情や目を見てコミュニケートしないとニュアンスが違ってきてしまうと感じました。

そういうもどかしさもあって、演じることが難しかったのですが、何が何でも伝えるんだ、という切羽詰まった状況で、何とかしゃべれるようになったんですね。それまでは頭でっかちというか、英語をしゃべるシーンでは構えてしまった部分があったんです。いくら台本があっても、せりふを読むだけではなく、感情や思いの込め方、身体の動かし方などは、コミュニケーションをとりながら演じなくてはなりません。このときの体験、英語の飛び交う香港の映画の現場で、一番英語が身につきました。話ができないと生きていけない状況に自分を追い込むのが、大変ですが最速の上達方法ではないでしょうか(笑)。 この仕事の経験から、英語は絶対必要だと感じました。今後ますます国際社会になり、仕事も日本語だけではすまなくなる、勉強しなきゃ、という思いから、所属する事務所に留学させてくださいとお願いして、2000年に1カ月お休みを取り、ニューヨークに単身、語学の勉強で行きました。普通の語学学校でしたが、朝から晩まで英語漬けの毎日でした。授業ではシチュエーションコメディーのようなものもあって、とてもおもしろかったですね。

ドイツ、イタリア、韓国など国籍のさまざまな生徒がたくさんいまして、英語の面でも成果がありましたが、一番大きな収穫は、人種や国籍の壁を意識しなくなったこと。以来、どんな国の方とでも、恐れずに話せるようになりました。自分でアパートを借りたり、日常生活の細々したことまで全部自分でやったり、それまで体験したことのないような生活をしたこともプラスになりました。

それから、2004年にミュージカル『nine the musical』に出演し、このときは演出家やスタッフがニューヨークからいらしたのですが、2カ月のけいこ期間で、リスニングがだいぶ進歩しました。でも人によって話すスピードも発音も違いますから、スムーズだったわけではありません。このときも通訳さんを介さずに、なるべく自分で直接話しかけたりしました。語学はすぐに効果が出るものではありません。それまでの体験で、どこかに英語力は蓄えられていたと思いますが、すぐに役立つというわけではなく、しばらくたってから、こんなこと覚えてる、みたいな感覚なので、英語が伸びたと感じるのは、むしろ最近ですね。

英語の飛び交う香港の映画の現場で、一番英語が身につきました。

英語の歌をたくさん聴いて発音が磨かれた

−2007年に、全編ニューヨークロケのドラマ『マンハッタンダイアリーズ』に出演されましたが、このときの思い出がありましたら教えてください。

純名:一言で言うと、ものすごく大変でした。仕事でニューヨークへ行ったのは初めてで、2カ月滞在したのですが、痛感したのは、プライベートで行くのと仕事で行くのとでは全然違うということでした。出演条件が1人で住むということだったのですが、仕事をしながら生活に追われて、かなり大変な毎日でした。例えば洗濯機の使い方がわからなくて4時間もかかったとか、そういうストレスを強く感じましたね。たぶん語学留学のときは、初めてのことばかりで、物珍しくて、不安よりもワクワクした期待感のほうが強くて、あっという間に過ぎていったのだと思いますが、仕事となるとまったく違いました。仕事のプレッシャーではなくて、ニューヨークの本当の顔、生きる上での現実の厳しい面が垣間見えてきたんですね。

帰国したときは、ノー・モア・ニューヨークでしたが、今はまたすごく行きたいです(笑)。もともとミュージカルの本場のニューヨークは大好きですし、パワフルな街。だからその分、自分もパワーがないとやっていけない。でも厳しい分だけ世界中から良いものが集まっている街だと、改めて感じました。

−昨年、アルバム『Misty Moon』をリリースされましたが、全9曲のうち、7曲が英語の歌ですね。美しい声はもちろんのこと、発音もきれいですね。

純名:ありがとうございます! 発音だけはよく褒められるので(笑)、ネイティブの方によく勘違いされるんです。私が英語を話し始めると、発音で英語がすごくできると思われて、早いスピードでお話しになるんですよ。だから私はあわてて“Wait, wait.”、“I beg your pardon?”とか言って。たぶん、英語の歌をたくさん聴いているので、耳はいいのだと思います。

−英語と日本語の歌、もしくは英語と日本語でしゃべるときの違いはありますか。

純名:アプローチが違うだけで、歌うこと自体は同じなのではないでしょうか。日本語の歌を歌うときに私が極力意識しているのは、語るように歌うということ。せりふっぽいと言うと語弊があるかもしれませんが、よく「せりふは歌うように、歌は語るように」と言われていることです。ただ、英語の方が、歌っているときに 1語でいろいろな意味を込められるかもしれませんね。それに、1音に1単語をのせることができますから。あと、私はもともと感情表現がストレートなので(笑)、英語の方が思ったことを言いやすいかも。英語は私の性格に合っていると思います。

'07年8月にリリースしたソロアルバム『Misty Moon』。「オーヴァー・ザ・レインボウ」などの映画主題歌やクラシック曲などが収録されている

英語アニメの声優にも挑戦

−声優をされた英語アニメーションが3月末から放送されますね。

純名:はい。『リトル・チャロ』という、NHKの大人向けの英語アニメで、主人公役の子犬、チャロの声をやっています。チャロは日本生まれの捨て犬で、死にそうなところを翔太という少年に拾われて大の仲良しになります。翔太と一緒にニューヨークへ行くのですが、空港ではぐれてしまい、チャロはたった独りでニューヨークの街を生きていくという冒険アニメです。初めは英語が話せないチャロがいろいろな体験をしながら、英語も話せるようになるという成長物語で、まだ全体の3分の1くらいしか収録していませんが、監督から、発音が良すぎるのでカタカナ英語というか、日本語っぽくしてくださいと言われて、それがとても難しいですね(笑)。

あと、ネイティブの方たちと一緒に録音するときに、とても緊張しました。これから子犬が成長するとともに、英語も流暢になるときがやってくると思いますので、そこが最大の勉強のしどきかなと、今からとても楽しみにしています。このアニメにはオリジナル・ソングもたくさん出てきますから、大人も子どもも十分楽しめると思います。

−舞台はニューヨーク、歌ありドラマありで、純名さんにぴったりですね。今後のお仕事や、英語力の目標などを教えてください。

純名:やはり歌って踊ってお芝居をする三位一体のミュージカルをもっともっとやりたいですね。でも私は表現することが好きなので、表現するジャンルにはとらわれたくないんです。歌に芝居に、将来もいろいろなことにチャレンジしていきたいと思います。

何年か前に、『Lennon』というジョン・レノンの人生をつづったミュージカルをニューヨークで見たのですが、オノ・ヨーコさんの役をフィリピン系アメリカ人の方が演じてらして、どうして日本人じゃないのかと、とても残念でした。ぜひ、日本人の方に頑張って役を勝ち取っていただきたいですね!私も英語の面でもっと勉強して、ネイティブの方並みになれればいいなと張り切っています。頑張ります!

感情表現がストレートなので、英語の方が思ったことを言いやすい



CNN name,logo and all associated elements ™ and © 2008 Cable News Network. A TimeWarner Company. All rights reserved.