**** 2007/01/24 ******************************************** ☆★ EE Club mail magazine ★☆ ~英語を“楽習”しましょ~ ******************************************** 第49号!***** 年が明けて3週間ほど経ち、ようやく仕事のリズムが戻ってきた ように思います。寒さに負けず、張り切っていきたいものです。 http://www.asahipress.com/ ■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ contents ━━━━ 【1】『こども哲学』、シリーズ最新刊発売! 【2】 リチャード・クエストさん、インタビュー裏話 【3】 連載= Express Yourself 【4】 あとがき ♯宮崎県知事選に思う ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■ 【1】『こども哲学』、シリーズ最新刊発売! あるフランスの小学校で開かれた、哲学の授業。そこで交わされた こどもと先生との会話を、まるごと詰めこんで絵本にしました。 この本には、○○って、なに?を考えるための大きな問題が6つ。 いろんな考えをあれこれ組み合わせたり、ふだんは見えていないと ころをのぞきこんだりしながら、ほかのだれにもたどりつけない、 自分だけの答えをさがしてみませんか? <最新刊> 監修=重松清 □『知るって、なに?』   定価1470円(本体1400円+税) ⇒http://www.amazon.co.jp/dp/4255003793/ □『自分って、なに?』   定価1470円(本体1400円+税) ⇒http://www.amazon.co.jp/dp/4255003807/ <シリーズ好評既刊> □『人生って、なに?』 □『いっしょにいきるって、なに?』 ⇒http://www.asahipress.com/2006/tetsugaku/vol3_4.html □『よいこととわるいことって、なに?』 □『きもちって、なに?』 ⇒http://www.asahipress.com/2006/tetsugaku/index.html ▼▽━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2】 リチャード・クエストさん、インタビュー裏話 去年の12月に CNN の日本特集「Japan Now」の放送のため、独特の 語り口と超強力キャラで「最も面白いリポーター」として人気を集 めているロンドン支局のリチャード・クエスト特派員が来日し、商 人の街「大阪」を徹底取材したあと、私たち EE 編集部のインタビ ューに答えてくれました。 クエスト氏は、 間違いなく CNN で今もっとも生き生きした表情の 持ち主です。EE 編集部では、CNN の放送がいつも流されています。 テレビは私の机のすぐそばにあり、したがって、顔を上げると、常 に目に入るのですが、クエスト氏が登場するときはいつも、満面の 笑顔を浮かべているのです。直接会ってみると、クエスト氏が実際 は生まじめで真剣なことがわかり、私はちょっと驚きました。私た ちとのインタビューの間に、彼が人の心を引き付ける微笑を浮かべ ることは一度もありませんでした――写真撮影のためにポーズする ように依頼されて、彼は「道化師」に変身しましたが。 彼は、ここ日本で取材して最も驚いたのは、ビジネスのあらゆるレ ベルで、英語がほんのわずかしか使われていないことだと語りまし た。また、他の国ではたいてい使用できた彼の携帯電話とBlackberry (通信機能を内蔵した携帯情報端末)が、誰もが世界で最も技術が 進んでいると考えている日本で使えなかったことが、信じられない 様子でした。 インタビューでは、彼はコンコルドのラストフライトを取材したこ とについて話してくれました。インタビューのあと、のんびりして 休めるときはいつか尋ねると、彼の答えは次のとおりでした。 「飛行機の上で」。彼はあらゆるものから離れて、空を飛んでいる のをなによりも愛しているのです。 (M.T) $--…---…---…---…---…---…---…---…---…-…---…--$  EEを友達にすすめてアフィリエイト報酬をゲットしよう!     ◎詳しくはこちら ⇒ http://ee.asahipress.com/ $--…---…---…---…---…---…---…---…---…-…---…--$ ▼▽━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【3】 連載= Express Yourself   <ビミョ~>な日本語、英語で言ってみよう! 〔 第10回 ★ 英語だと気ままな「寅さん」が自己主張? 〕 「寅さん」がNHK BSで毎週末放送されていますね。 「寅さん」は、時の人気女優のハートを次々と射止め、なんのフォ ローもなく立ち去り、なおかつそのことを一切責められない-- そんな「和製ジェームス・ボンド」寅さんは、各地で出会う「マド ンナ」に対して自己紹介するときにこんなことを言います。  |出身大学、勤め先、財産、そういうものは一切なし。  |                          |  風の向くまま気の向くまま、年中旅暮らし、    |  |    まぁそういったところじゃないか。     これを英語で訳すのは至難(しなん)の業(わざ)です――なぜ難 しいのでしょう? あえて訳してみましょう。   ┌───────────────────────┐ まず、出身大学、勤め先、財産、そういうものは一切なし。   └───────────────────────┘ ┌───────────────────────┐ = | “No college education, no career,      | | no property, no nothing.”| └───────────────────────┘ “no nothing”は否定×否定ですから、文法的に違和感があるかも しれません。文法の正しさをとるなら“I have none of such things.”となりますが、口語表現の“no nothing” を使うと、     |   何にもない         | 本当に、まったくない  という感情を強く出すことができます。アメリカの映画で、経済的 に恵まれない設定の人物が「一文なし」を表すためによく言う言葉 “no money, no place to live, no nothing.” (金なし、住みかなし、何にもなし) では、“no”をいろいろと具体的なものの前につけて「何もないこ と」を強調した上で、 「何もないこと」=“nothing”すらも「な い」という駄目押しをするのです。     ┌───────────────────┐(これが つづいて 風の向くまま気の向くまま、年中旅暮らし。 難物!)     └───────────────────┘   ┌────────────────────────┐  =|“As the wind blows,               |   |as my wish leads (takes) me, always traveling.”|  └────────────────────────┘ ┌──────┐ “As the wind blows”は文字通り ★風の向くまま| 「風の向くまま」ですが…?! └──────┘ ~日本語と英語で違うニュアンス~ 英語でも「成り行きに任せて」という意味はありますが、この場合 の“wind”は、より自然現象としての「風」の触覚的イメージが強 い。英語はもともとイギリスの言葉ですから“wind”は本来、荒野 をふきすさぶ「荒々しい風」です。「風の向くまま」の「風」はも っと楽しくてのんきな風です。(→本文に続く【文化から言葉に近 づく】参照) ┌──────┐“as my wish leads me”と訳しましたが…?! ★気の向くまま| ~「私」の気の向くままに?!~ └──────┘ われながらダメ訳ですね~(笑)。「寅さん」感が台無しです。 英語でもっとも大事なのは「誰」を明らかにすること。発話者個人 の「人格」が問題になってきます。「気の向くまま」の「気」は一 体「誰の」「気」なのかを明らかにしないといけないのです。英語 では「私は<私の><意思>が導くところに向かう」という、なん だか自己主張の強い「寅さん」になってしまいますね(笑)。 本当の寅さんは、寅さんの「意思」で能動的に「動いている」とい うより、「世間」に流れる「雰囲気」のようなもの、あるいは「さ だめ」に「動かされている」のです。 欧米の考え方で言えば、定住することができない寅さんの運命はと ても酷なもので、なぜ彼はそれに対して戦いを挑まないのか、とい うことになるのかもしれません。でも、彼が運命を受け入れ、自然 体に生きる姿に日本人は心を打たれるのです。 ┌──┐ “always”と訳しましたが…?! ★年中| ~英語にはない時間の感覚~ └──┘ 「年中」の意味は「一年の間ずっと」=“all year long”ではな く「いつも」「常に」ですから“always”を使いました。 ただ、“always”を使うと「永遠に」という意味合いが強くなり、 「過去から未来へと続く直線的な時間の流れ」が出現します。その 流れの中のどこかの期間に、継続して反復して起こるなんらかの現 象を“always”と言いますが… なんだかしっくりきません。 「年中」は「いつも」であってもけして「永遠」ではないし、過去 や未来にさかのぼるわけでもない。むしろ、「今」に近い感覚。 でも、“Now”とは根本的に違います。西洋文明の“Now”は、直線 的な時間=歴史のなかの「定点」であり、「一瞬」です。 「年中」の例でもわかるように、日本人にとっては、過去も未来も 漠然と「今」の中に放り込まれているようなところがあります。歴 史学者の阿部勤也氏が比較・研究されたことですが、欧米では個人 がおのおのの「歴史的時間」と「人格」を持って生きています。こ れに対し、日本人は「世間」という共通の「時間」の中に生き、個 人の「人格」は問題にならず、一人一人は「世間」の中で「場」を 与えられているだけで、その「場」の集合体が最も重要なのです。 すこし話がむずかしくなりましたが… ここで、英語と日本語の「時間感覚」の違いを示す、いい例を紹介 しましょう。寅さんも旅先で「以後よろしくお見知りおきを!」と 言いますが…?  ........HOMEWORK.......................................   「これからも(今後とも)よろしくお願い申し上げます」。   これは英語には存在しない挨拶(あいさつ)ですが、   なぜでしょうか?     →【次回にお答えします!】   ....................................................... 寅さんが生き、そして生かされている場所は「世間」です。 俗に言う「寅さんのアリア」、車寅次郎の口上には「世の中っても んは」「世間ってのはよ」という言葉がよく出てきます。この「世 間」と「社会」はどう違うのでしょうか? 私は「気の向くまま」 を英語に直してみるとどうもしっくりこなかったことにヒントがあ るような気がします。つまり…「世間」とは人が「生かされる」場 所であり、「社会」とは「生きる」場所なのではないでしょうか? このあたり、次回にもう少し掘り下げてみたいと思います。 ┏━文化から言葉に近づく━━━━━━━━━━━━━━┓  ■■日本と西洋の「自然」■■  寅さんのセリフを日本語に訳すと、日本文化について、  いくつか見えてくることがあります。  日本人にとって自然は、親しみの持てるものであって、  西洋のように「人間の理性」VS「自然」という形で対立 するものではありません。ましてや、日本人にとって 自然は「克服」されるものでもありません。共生し、  感謝を捧げるべきものであって「対象」ですらありません。  日本人は人間は自然の一部だと思っているからです。  これをあえて英語で言うと、「汎神論」=“pantheism”  となります。“pan”は「全…」、“theism”の“the”  は「神」を意味します。「神学」は“theology”ですね。 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ┏━━┓■ 前回の“cherry-picking”について、 ┃\/┃■ 読者の方からメールをいただきました。  ┗━━┛□■■■□■■■□■■■□■■■□■■■ *==N・Eさまからのメール引用==* “cherry-picking over isolated instances”ですが、 「いいとこどり」で、確かに間違いないのですが、 愛媛県のある著名な農家の方から聞いた表現が サクランボのニュアンスに、より近いのではと思います。 「ヤマモモの選り食い=ヤマモモノヨリグイ」 というものです。 ヤマモモは高知県の県木で、街路樹や公園に植栽 (しょくさい)されています。初夏の味で野性味あふれる ヤマモモの果実を採取すると、やはり美味しい実から 食べられていくようで…というさまを表しています。 *============================* いろいろな英語があるように、いろいろな日本語がありま す。日本語にこんなステキなことわざがあったんですね! もしなにか思いついたら、あなたもお便りをお寄せください。 この場をお借りしてN・Eさまには改めて御礼申し上げます。 どうもありがとうございました。 □■■■□■■■□■■■□■■■□■■■□■■■ ◇◆執筆者プロフィール◇七尾藍佳◇◆ コラムニスト(得意分野は国際関係&文学)。 2003年4月より3年半、TOKYO FM 朝の番組でパーソナリティ。 2006年10月より日本テレビ夜の報道番組『NEWS ZERO』(月-金)にて フィールドキャスターとして活躍中。http://nanaoaika.com/ 昭和53年5月26日 アメリカ合衆国ワシントンD.C.生まれ。 日本とスイス、韓国、チリ、サンフランシスコなどで生活。 東京大学教養学部地域文化研究科アメリカ文化卒業。チリに留学し て「南から北アメリカを考える」ほどの「アメリカ」オタク。 双子座O型、趣味はダイエットおよび美容全般。チクワ好き。 ◆当連載へのご意見・ご感想は下記までお寄せください。  → yonezawa@asahipress.com ■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【4】 あとがき そのまんま東さんが宮崎県知事に選出され、連日ニュースを 賑わせていますね。 選挙戦当初は、“タレント候補”と冷ややかに見られていま したが、街頭で宮崎弁を交えながら熱く語る姿勢が県民の支 持を得たのでしょう。 今回の選挙は、「しがらみ」という言葉がキーワードだった ように思います。前知事が官製談合事件で逮捕され、うっ積 した県内は刷新を求める空気で満ちていたのではないでしょ うか。 鳥インフルエンザ対策や県議会との折衝など、山積する問題 に、新知事の手腕が問われるところです。 早稲田大学に通っていた当時、キャンパス周辺で何度も見か けたのが思い出されます。教室で熱心に講義ノートをつけて いた姿が印象的でした。学食のトイレで歯みがきをしている 氏に遭遇したこともありましたが…。 なにはともあれ、新知事の今後に注目。(橋) □■今号の一冊・・・ 『MiND(マインド)』 http://www.asahipress.com/2006/mind.html --------------------- ◆次号は2月7日配信予定です。 ◆当メルマガへのご意見・ご感想は担当の橋本までお寄せください。 → hashimoto@asahipress.com ◆バックナンバーはこちら → http://www.asahipress.com/eeclub/mm.html ────────────────────────────── メルマガの『文字や記号がずれて読みづらい』方は・・ Outlook Express をお使いの場合、 (オプション)-(読み取り)-(フォント) で[MS明朝]や[MSゴシック]に設定して下さい。Mac や他のメー ラーをお使いの場合Osaka等倍など「等倍フォント」をお勧めします。 ────────────────────────────── ◆当メールは、EE Club にご登録いただき、配信を希望された方に 配信しています。 当メールの配信先変更/配信中止は、下記 URL よりログインして いただき、「会員情報変更」にてお願いします。 https://club.asahipress.com/ 朝日出版社:営業部 〒101-0065 東京都千代田区西神田3-3-5 TEL  :03-3263-3321 FAX  :03-5226-9599 E-MAIL:eeclub@asahipress.com http://www.asahipress.com/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━