**** 2008/12/17 ******************************************** ☆★ EE Club mail magazine ★☆ ~英語を“楽習”しましょ~ ******************************************** 第95号!***** 2008年も残すところ2週間となりました。仕事に私事に、慌しい 時期ですが、新年に持込みがないよう、片付けたいものですね。 http://ee.asahipress.com/ ■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ contents ━━━━ 【1】 本屋さんのブックレビュー、第7回更新! 【2】 田中茂範さん、インタビュー裏話 【3】 連載= Express Yourself クリスマスにまつわる英語 【4】 あとがき ♯2008年の総括 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■ 【1】 本屋さんのブックレビュー、第7回更新! 朝日出版社HPにて連載中の「本屋さんのブックレビュー」、第7 回が更新となりました。 日々、膨大な量の新刊・既刊の中から棚を作り上げていく書店員さ んが、本当に面白い!と思った1冊をご紹介する当連載。 今回は、丸善お茶の水店の文芸書担当者さんに思い出の1冊を紹介 してもらいました。ぜひアクセスください! ⇒ http://blog.asahipress.com/bookreview/ <好評バックナンバー> ◎第1回『歌舞伎のかわいい衣裳図鑑』 http://blog.asahipress.com/bookreview/2008/07/vol_10_46c7.html ◎第2回『クライマーズ・ハイ』 http://blog.asahipress.com/bookreview/2008/07/post_9f20.html ◎第3回『ゴールデンスランバー』 http://blog.asahipress.com/bookreview/2008/08/vol3_17b2.html ◎第4回『自爆テロ』 http://blog.asahipress.com/bookreview/2008/08/post_9f20.html ◎第5回『臨床瑣談』 http://blog.asahipress.com/bookreview/2008/09/vol5-4273.html ◎第6回『タイタンの妖女』 http://blog.asahipress.com/bookreview/2008/09/vol6-003e.html ▼▽━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2】 田中茂範さん、インタビュー裏話 EE1月号の巻頭インタビューは、応用言語学を専門とする研究者で、 NHK の英語講座にも出演されている田中茂範先生です。青年時代に 見た英会話学校のチラシをきっかけに、それまで英語とは無縁だっ た人生が一転し、独学による猛勉強を経て留学生活へ。 はじめは大変な苦労をしたものの、猛勉強の末、大学院では教授に 「わからないことがあればシゲに聞け」とか、「シゲのレベルでは 簡単すぎるから、この授業は取らないでくれ」と言われるほど優秀 な成績だったということです。 その明晰な頭脳で模索し構築した効果的な英語教育法については、 本誌に譲りますが、ここでは先生が面白くて仕方なかったという、 テンプル大学でのアメリカ研究の授業の一端を少しだけご紹介しま しょう。こんな授業があったら、田中先生ならずともエキサイトし ませんか!? …………………………… (以下、田中茂範さんインタビュー) テンプル大学でのアメリカ研究の授業では、'60 年代を検証する目 的で、まずいきなり1969年のピーター・フォンダの映画『イージー・ ライダー』を見せられました。 ピーター・フォンダとデニス・ホッパーが自由を求めてバイクで旅 に出発するんですが、その最初に時計を捨てる。この時計は8時で 止まったままだが、これは何を意味するのか。ピーター・フォンダ の We blew it.(しくじった)というセリフはどういうシンボリッ クな意味を持つのか。旅の最後は自滅のような形で終わるが、それ はどういう意味か、などを自由に討論するわけですよ。 そして、1976年にイーグルスの『ホテル・カリフォルニア』が大ヒ ットするんですが、先ほどの映画とこの歌の関係性を議論するんで す。『ホテル・カリフォルニア』は実は「1969年」が鍵なんです。 '69年といえばロックコンサート『ウッドストック』 が開催された 年なんですね。『ホテル・カリフォルニア』の歌詞を見てみると、 次のような個所が出てくるんです。「ハイウェイを走っていると、 甘い香りがして頭がクラクラしてきたので、どこかに泊まらなきゃ ならない。女性が現れてホテル・カリフォルニアに案内してくれる。 ワインをくれと言うと、 "We haven't had that spirit here since nineteen sixty nine." ('69年以来その酒/精神はない ⇒ spirit は両義的)と言われる。 それから、 "They stab it with their steely knives, but they just can't kill the beast."(ナイフで獣を刺したけど獣は死なない ⇒ 社会 のシステムは壊せない)とか、"mirrors on the ceiling"(鏡張り の天井 ⇒ 天井からも見張られている)というようなシンボリック な表現が出てくるんです。 そして、歌詞の最後は "We are programmed to receive. You can check out any time you like, but you can never leave!" とな っており、「もう社会のシステム(体制)を受け入れるしかない、 いつでもチェックアウトできるけど、ここを物理的に離れることは できないよ」という内容で、'60 年代に反体制運動をやったけど、 '69 年には終わってしまい、結局ダメだった、という解釈が可能な 歌なんです。 そのほか、ビート文学の代表的詩人だったアレン・キンズバーグの 詩、戦争文学の傑作『裸者と死者』で知られるノーマン・メイラー の小説や評論なども授業に導入されました。もちろん、ケネディ、 ジョンソンの政治体制、女性開放運動、市民権運動などもからめて '60年代を浮き彫りにしようとする授業でした。 英語ができないなどは言い訳にならなくて、とにかくやるしかない。 これが僕のタスクで、タスクをするためには、今自分にある英語を 最大限に活用するしかない、という体験をしましたね。 ★…---…---…---…---…---…---…---…---…---☆ CNN ENGLISH EXPRESS のホームページ! 英語上達に効果抜群のコンテンツが盛りだくさん! http://ee.asahipress.com/ ☆…---…---…---…---…---…---…---…---…---★ ▼▽━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【3】 連載= Express Yourself      <ビミョ~>な日本語、英語で言ってみよう! 〔 第56回 ★ 日本では「クリスマス・ツリー」でも所変われば…        ただの tree(木)?! 〕 クリスマスを来週に控え、街中ではクリスマス・ツリーなどのイル ミネーションがとってもキレイですね。この時期になると私はとっ てもワクワクします。 元々キリスト教国ではない日本ですっかり定着したクリスマスとい うイベント。むしろ本家本元の欧米よりもなじんでいるようにも思 えます。というのも、アメリカやカナダでは「クリスマス」は実は 何かと論争の種になることがあるのです。今回はクリスマスにまつ わる英語について考えてみましょう。 まずは「クリスマス・リース」について。 私の友人が、アメリカ人宅で催されたクリスマスパーティーに招か れました。玄関の「リース」が美しかったので、以下のように賛美 の言葉を奥様に伝えたそうです: ┌───────────────────────────── It's such a beautiful 【lease】 you have! └───────────────────────────── と言うと、夫人はちょっとけげんそうな顔をしてから ┌───────────────────────────── Oh! Our company provides us with housing, so it sure is a pretty good bargain. (ああ! 「住まい」 に関してはうちの会社が世話をしてくれるん だけど、確かに大分お得だと思うわ) └───────────────────────────── と話がかみ合わなかったそうです。友人はカタカナ英語の「リース」 が、 「賃貸」を意味する「リース=lease」と同じ表記と勘違いし、 つい同じ発音で言ってしまったため、 クリスマスの「wreath = リ ース」を招かれた家の「賃貸」についてほめた、と受け止められて しまったのです。 クリスマスに家のドアなどに飾る草花で作られた輪っかは: wreath が正しい表記です。これを見れば、lease とは大分発音が違うこと が一目瞭然ですね。 w は発音せず、「r」の音を際立たせながら発 音します。街で「リース」を見かけたら: ┌───────────────────────────── Not lease, but WREATH. └───────────────────────────── と頭の中で練習してみるとすぐ覚えられるはずです。 さて、リースと同じくクリスマスになくてはならないクリスマス・ ツリーですが、実はアメリカでは「Christmas Wars(クリスマス戦 争)」と言われるほどの論争の対象となってきた歴史があります。 もちろん、クリスマスの祝祭はキリスト教徒の宗教儀式なのでたと えばユダヤ教徒に関しては: ┌───────────────────────────── Jewish people do not celebrate Christmas because they do not believe Jesus Christ is a messiah. (ユダヤ教徒はイエス・キリストを救世主だと信じてはいないので  クリスマスを祝うことはありません) └───────────────────────────── ということになります。 アメリカやカナダなど、様々な宗派・信条(無宗教も含め)の人々 が生活する国では、 学校などの公の建物での 「クリスマス・ツリ ー」は特定の宗教を政府が支持していると受け止められ、アメリカ 合衆国では「政教分離(separation of church and state)」の原 則に反していると最高裁(the Supreme Court)まで争われました。 一般的には「キリスト生誕」などの「キリストの教え」に具体的に 言及するような置物や飾りが設置されていなければ、「木」を飾る ことは許容範囲とされています。日本では「クリスマス・ツリー」 と当たり前のように呼ばれるこの「木」も、アメリカでは holiday tree と呼ばれることが、 特に公の場所では多いようです。 かの有名な ニューヨークのロックフェラーセンターのクリスマス・ツリーも、 正式名称は the tree at the Rockefeller Center だそうです。Christmas season というと 「クリスマスの時期・季 節」ですが、こちらも最近は holiday season と呼ばれることのほ うが定着しています。というのも、キリスト教徒でない人もたくさ んいるからです。 holiday は元々「神聖な」を意味する 「holy」 と 「day(日)」 から成る言葉でした。 今では広く「休暇」を指しますが、 12月の holiday season というと、アメリカでは感謝祭 = Thanksgiving (11月の第4木曜日)からクリスマスにかけてのことになります。 同時期にユダヤ教の儀式である「ハヌカ」も行われるので、ユダヤ 教徒に対しては: ┌───────────────────────────── I wish you a merry Christmas. └───────────────────────────── ではなく: ┌───────────────────────────── A happy Hanukkah to you! └───────────────────────────── と言います。ただ、問題は相手の宗教が分からない場合です。そう いう時は ┌───────────────────────────── I wish you a happy holiday. └───────────────────────────── と言えば大丈夫です。 ただ、ユダヤ教徒にも色々な考え方の人がいて、私の友人のユダヤ 教徒の女性はよく次のように言っています: ┌───────────────────────────── Why not celebrate Christmas when it's another chance to receive presents? You shouldn't waste such a great opportunity. (プレゼントをもらえるもう一つのチャンスだっていうのにクリス  マスを祝わない手はないわよ。そんな素晴らしい機会をムダにし  てはいけないわ) └───────────────────────────── ひとそれぞれですね。クリスマスなどの宗教的・文化的な催しに関 しては個人によって考え方が違いますから、ある程度親しくなるま では、 一定の「政治的正しさ(political correctness ) 」を保 つ配慮が大事です。 それにしても、日本でのクリスマスの定着ぶりを感じるにつけ、こ のように思います: ┌───────────────────────────── Christmas is a good occasion to convey a sense of gratitude for someone you feel like saying“thank you.” (クリスマスというのはあなたが「ありがとう」と言いたいと思う  人に対して感謝の念を伝えるよい機会だ) └───────────────────────────── 「感謝」と「喜び」というクリスマスの「良さ」を純粋に楽しむこ とができる日本社会は、ある意味とても大らかだと言えるのかもし れません。 ところで今回の『Express Yourself』が年内最後の配信になります。 筆者としてもとても楽しく、English を通して様々な事柄に考えを はせることができました。これもひとえに読者であるあなたのおか げです。また来年もよろしくお願い申しあげます。 最後に、あなたへ心からの「祝福の言葉 = greeting 」をお送りし ます: ┌───────────────────────────── Wish you a joyous holiday and party season! (あなたの祝祭の日々が喜びにあふれるものであることをお祈りし  ます) └─────────────────────────────       ☆       ※※      ★※★     ※※★※※    ※★※※※★※   ★※※※★※※※★      ■■■      ■■■ ◇◆執筆者プロフィール◇七尾藍佳◇◆ 日本テレビ系列、『NEWS ZERO』フィールドキャスター。 東京大学教養学部卒。 ワシントンDC生まれ。 東京大学在学中には、チリ、カトリカ大学へ交換留学。 公式ブログ→ http://ameblo.jp/nanao-aika/ ウェブコラム「Salut!」→ http://www.bloomingmarket.com/ (リンク先ページ左下【Salut! Nana's Fashion Tribute】より) 公式ホームページ→ http://www.blooming-net.com/ ◆当連載へのご意見・ご感想は下記までお寄せください。  → nihongi★asahipress.com   ( お手数ですが、★を@ に変えてお送り下さい) ◇『Express Youself』WEB 版はこちら【◎ URLが変わりました!】  → http://blog.asahipress.com/express_yourself/ ■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【4】 あとがき あっという間に一年が終わろうとしています。皆さんにとって どんな年だったでしょうか。 今年最後の配信にあたり、一年を振り返ってみたんですが、頭 にすぐ浮かんだのはスポーツのこと、政局のこと、経済状況の ことでした。 北京五輪では期待されていた種目で結果が残せませんでしたが、 たくさんの新星が出現しました。一方で、迷走を続ける政府に 振り回される国民、一筋の光さえ見えない景況感など…。良い 一年だったと言える人は稀なのではと思ってしまいます。 そんな中でも当メルマガは読者の皆さんのご愛顧を頂き、創刊 4周年を迎えることができました。 100号も目前なので、皆さ んへ還元できるような企画を練っているところです。 締めくくりにはまだ早いですが、とりあえずご挨拶を。 本年は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございました。 来年もより一層のご支援を賜りますよう、心からお願い申し上 げます。(橋) □■今年の一冊・・・ 『死刑 人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思う』 http://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255004129/ --------------------- ◆次号は1月7日配信予定です。 ◆当メルマガへのご意見・ご感想は担当の橋本までお寄せください。 → hashimoto@asahipress.com ◆バックナンバーはこちら → http://ee.asahipress.com/eeclub/easy.html ────────────────────────────── メルマガの『文字や記号がずれて読みづらい』方は・・ Outlook Express をお使いの場合、 (オプション)-(読み取り)-(フォント) で[MS明朝]や[MSゴシック]に設定して下さい。Mac や他のメー ラーをお使いの場合Osaka等幅など「等幅フォント」をお勧めします。 ────────────────────────────── ◆当メールは、EE Club にご登録いただき、配信を希望された方に 配信しています。 当メールの配信先変更/配信中止は、下記 URL よりログインして いただき、「会員情報変更」にてお願いします。 https://club.asahipress.com/ 朝日出版社:営業部 〒101-0065 東京都千代田区西神田3-3-5 TEL  :03-3263-3321 FAX  :03-5226-9599 E-MAIL:eeclub@asahipress.com http://www.asahipress.com/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━