こちらのページでは、2022年7月号の「ニュースセレクション3」を一部体験頂けます。
 次回更新は、9月5日頃を予定しております。(3カ月毎に更新予定)

CNN NEWS SELECTION 3

Keeping to the Sidelines

アフリカ人ジャーナリストが迫る!ロシア批判ためらうアフリカ諸国、その理由は

2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻のニュースが世界を駆け巡った。
ロシアがウクライナで民間人への攻撃やジェノサイド(集団殺りく)を行っているとして、国際法違反を追及する声が強まっている。
世界の平和と安全を維持することを目的とする国際連合は、3月に緊急特別会合を開催した。
そこであらわになった、ロシアとアフリカ諸国の関係性について、ナイジェリア出身のジャーナリストがリポート。

アフリカ諸国の反応

原文

In the three weeks since Russia invaded Ukraine, President Vladimir Putin’s actions have been strongly condemned by several African nations.
“Ghana remains deeply concerned about escalation of military bombardments in several cities of Ukraine.”
But many African states, while still denouncing the violence unleashed on Ukrainian civilians, have been much more muted in their response to Russia. When the UN General Assembly voted on a resolution urging a Russian ceasefire and withdrawal, 17 African countries abstained, including Senegal, whose president is the current chair of the African Union.

キーワード

  • keep to

    (ある場所や領域)にとどまる

  • the sidelines

    直接参加しない立場、傍観者の立場

  • invade

    ~に侵攻する、攻め入る

  • condemn

    ~を非難する、とがめる、糾弾する

  • escalation

    戦争などの段階的拡大、エスカレーション

  • bombardment

    砲撃、爆撃

  • permanent representative to the United Nations

    国連常駐代表

  • denounce

    ~を公然と非難する、責める、糾弾する

  • unleash A on B

    Bに対してA(暴力など)を爆発させる、食らわす

  • civilian

    民間人、一般市民

  • muted

    控えめな

  • in one’s response to

    ~に反応して、応じて

  • the UN General Assembly

    国連総会 ▶全加盟国が参加し、各国はそれぞれ1票の投票権を持つ。

  • vote on

    ~について採決を行う

  • resolution

    決議、決議案

  • urge

    ~を促す、呼びかける

  • ceasefire

    停戦、休戦

  • withdrawal

    撤兵、撤退

  • abstain

    (投票を)棄権する

  • chair

    =chairperson 議長

  • the African Union

    アフリカ連合 ▶アフリカ大陸の55の国と地域が加盟する地域機関。

翻訳

ロシアがウクライナに侵攻してから3週間のうちに、ウラジーミル・プーチン大統領の行動はアフリカ諸国から強く非難されています。
「ガーナは、ウクライナのいくつかの都市における軍事爆撃の激化を依然として深く懸念しています」(ハロルド・アドライ・アジェマン ガーナ国連常駐代表 国連会合で)
 しかし多くのアフリカ諸国は、ウクライナの市民に加えられている暴力行為をやはり非難している一方で、ロシアに対する彼らの反応はそれよりずっと控えめなものとなっています。国連総会がロシアの停戦と撤退を促す決議案の採決を行った際、17のアフリカ諸国が棄権しました。その中には、大統領がアフリカ連合の現議長を務めるセネガルも含まれています。

「不干渉主義」の考え方

原文

“There is also a strong strand of thought in African diplomacy that says African states should maintain the principle of noninterference and so they shouldn’t get caught up in proxy wars between the East and the West as some states did get caught up in proxy wars during the Cold War, for instance.” (Remi Adekoya, associate lecturer, University of York)
Nelson Mandela once put it like this: it is a mistake to, quote, “think that their enemies should be our enemies.”
South Africa also abstained from the UN vote, and President Cyril Ramaphosa has since blamed NATO for considering Ukraine’s membership into the military alliance, which Russia is against.
“The war could have been avoided if NATO had heeded the warnings from amongst its own leaders and officials over the years.”

キーワード

  • strand

    要素、成分、部分

  • diplomacy

    外交

  • maintain

    ~を保つ、維持する

  • principle

    主義、根本方針、原理

  • noninterference

    不干渉

  • get caught up in

    ~に巻き込まれる

  • proxy war

    代理戦争

  • the East

    東側諸国、(旧)共産圏

  • the West

    西側諸国、自由主義陣営

  • the Cold War

    冷戦 ▶第2次世界大戦後の、西側と東側諸国の対立構造(1947~’91年)

  • associate lecturer

    (大学の)准講師

  • put

    ~を表現する、言い表す

  • Cyril Ramaphosa

    シリル・ラマポーザ ▶南アフリカ共和国大統領、アフリカ連合議長。

  • NATO:=the North Atlantic Treaty Organization

    北大西洋条約機構 ▶1949年に設立されたヨーロッパおよび北米30カ国による軍事同盟。

  • military alliance:

    軍事同盟

  • avoid

    ~を避ける、回避する

  • heed

    (警告などに)耳を傾ける、従う

  • warning

    警告、忠告

  • amongst

    =among

  • official

    当局者

  • over the years

    長年の間、長年にわたり

翻訳

 「アフリカ外交にはある有力な考え方もあり、それは、アフリカ諸国は不干渉主義を維持すべきで、ゆえに、東西間の代理戦争に巻き込まれてはならないということなのです、例えば、冷戦時代にいくつかの国が代理戦争に巻き込まれたように」(レミ・アデコヤ ヨーク大学准講師)
 ネルソン・マンデラ氏はかつてその考えをこのように表現しました。「彼ら(友好国)の敵がわれわれの敵のはずだと考える」ことは誤りである、と。
 南アフリカも例の国連の採決で投票を棄権しました。そしてシリル・ラマポーザ(南アフリカ)大統領はそれ以来、軍事同盟NATOへのウクライナの加盟を検討しているとしてNATOを非難していますが、それ(ウクライナの加盟)はロシアが反対していることなのです。
 「この戦争は回避することができたかもしれません。もしNATO が内部の指導者たちや当局者たちの長年にわたる警告に耳を傾けていたら」(シリル・ラマポーザ 南アフリカ大統領)