こちらのページでは、2022年10月号の「ニュースセレクション3」を一部体験頂けます。
 次回更新は、1月5日頃を予定しております。(3カ月毎に更新予定)

CNN NEWS SELECTION 3

Awaiting Repatriation

今なお続く植民地支配の影響略奪されたベニン王国の至宝 返還迫られる大英博物館

かつてナイジェリア南部に存在したベニン王国は、貿易拡大を目指して植民地支配を本格化させていた19世紀末の英国に、「ベニン・ブロンズ」と呼ばれる数多くの工芸品を略奪された。きっかけは、英国の使節団がベニン王国の人々に殺害された1897年の事件だった。貴重な工芸品の多くは今も返還されないまま、英国をはじめ世界中の美術館や博物館で展示されている。しかし近年、植民地時代に欧州諸国によって略奪されたアフリカの文化財が、少しずつ返還され始めている。。

王国の栄華を物語る美術品

原文

The faces of an African civilization,now centuries old, immortalized inelegant bronze plaques, their traditionspersonified in ancient brassfigurines, their artistry carved intoivory tusks.“These are documents of our history.You see the broad range ofobject types telling about the gloryof a kingdom, telling about whattranspired at the time and how verydeveloped the technology was andhow very developed the culture andthe civilization was.” (Peju Layiwola,professor of art history, University of Lagos)

キーワード

  • tusk

    (象などの)牙

  • document

    記録、証拠品

  • a broad range of

    幅広い、多様な

  • object

    物、物体、オブジェ

  • glory

    栄光、名誉、栄誉

  • kingdom

    王国

  • transpire

    起こる、行われる

  • developed

    発展した、先進的な

翻訳

こちらのアフリカ文明の数々の顔(の作品)は何世紀も前のものですが、優雅なブロンズの飾り板で、後世に伝えられています。彼らの伝統様式は古代からの真ちゅう像に擬人化され、彼らの芸術的技巧は象牙に刻み込まれています。 「これらはわれわれの歴史の記録なんです。ここに見られるのは、さまざまな種類の遺物で、それらはある王国の栄華を物語っていたり、当時の出来事、そしてその技術がいかに非常に高度であったか、その文化や文明がいかに著しく発展していたかを物語っていたりします」(ペジュ・ライウォラ ラゴス大学の美術史教授)

英国に略奪された工芸品の数々

原文

Peju Layiwola says she’s a directdescendant of the monarch of theBenin Kingdom in what is now Nigeria.It was here where thousandsof these precious relics were forgedhundreds of years ago, a vast collectionof artifacts considered someof Africa’s greatest treasures. Butthey’re also some of Africa’s rarest.That’s because very few of thesecarvings remain within Nigeria.In 1897, a handful of British officialswere murdered during a trademission that was clearly provocative.In retaliation, the Britishlaunched an attack on a scale thecity had never seen. It was brutal.They killed civilians, burned everythingin their path, and looted thousandsof precious objects known asthe Benin Bronzes. These spoils ofwar were eventually sold andhoused in foreign museums aroundthe world.

キーワード

  • direct descendant

    直系の子孫

  • monarch

    君主、国王

  • the Benin Kingdom

    ベニン王国 ▶12世紀頃から1897年まで現ナイジェリア南部に存在した王国。

  • precious

    貴重な、非常に大切な、尊い

  • relic

    歴史的な遺物、遺跡、遺品

  • forge

    鍛造(たんぞう)で~を作る

  • artifact

    (昔からの)人工遺物、工芸品、芸術品

  • carving

    彫刻作品、彫刻像

  • a handful of

    一握りの、少数の

  • official

    役人、政府職員

  • murder

    (人を故意に)殺す

  • trade mission

    貿易を促進するための任務・活動

  • provocative

    挑発的な、故意に人を怒らせるような。

  • in retaliation

    報復として、仕返しとして

  • launch an attack

    攻撃を始める

  • brutal

    野蛮な、残忍な

  • civilian

    (軍人・警察などに対して)民間人、一般人

  • in one’s path

    ~の進路にある

  • loot

    (戦争・暴動などに乗じて)~を盗む、略奪する

  • the Benin Bronzes

    ベニン・ブロンズ ▶かつてのベニン王国の王宮を飾っていた真ちゅうや青銅の飾り額や彫刻、像。

  • spoils of war

    戦利品

  • house

    ~を収納する、保管する

翻訳

 ペジュ・ライウォラ氏によれば、彼女は、現在のナイジェリアの地に存在していたベニン王国の君主の直系の子孫だそうです。何千点ものこうした貴重な歴史的遺物が何百年も前に作られたところがここ(ベニン王国)で、その膨大な工芸品のコレクションは、アフリカの至宝の一部と考えられています。しかし、それらはまた、アフリカの宝の中でも最も希少な部類に入ります。なぜなら、こうした(青銅)彫刻でナイジェリア国内に残っているものはほとんどないからです。 1897年、英国の外交官数人があからさまに挑発的な貿易交渉にあたっているときに殺害されました。報復として、英国はその都市(ベニン・シティ)が経験したことのなかった規模で攻撃を仕掛けたのです。それは残忍なものでした。市民を殺害し、行く手にあるあらゆるものを焼き払い、ベニン・ブロンズとして知られる何千もの貴重な品々を略奪しました。これらの戦利品はやがて売り払われ、世界各地の博物館に収蔵されました。